その場に居るかのような臨場感と没入感のある写真・動画が撮影できる、360度カメラ(全天球カメラ)。今回ご紹介するリコーのTHETAシリーズは「m15」から「RICOH THETA SC」の3代に渡り改良を重ねた本格派。実際に手にとってみて分かったことやおすすめポイントをレビューします。
目次
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360度カメラはリコーTHETAの独壇場
現在国内で最も売れている360度全天球カメラはリコーのTHETAシリーズだろう。家電量販店でも目立つ位置に置かれ、体験できる店舗も多く見られる。
最近では忘年会や新年会での撮影に購入する人や、景品としての需要も高まり家電量販店では品薄状態だという。また、不動産会社が物件の中を撮影する際など、ビジネスシーンでの利用も増えてきた。
THETAシリーズのラインナップ
THETAシリーズは下記の3種類発売されている。
- 2014年11月14日発売「m15」
- 2015年10月23日発売「Theta S」
- 2016年10月28日発売「Theta SC」
現時点で、三世代に渡り360度カメラ・全天球カメラを展開しているメーカーは珍しい。その分、技術の蓄積や改善・改良が製品に反映され、高品質かつお手頃な価格設定での販売が可能となっている。
360度カメラリコーTHETAのスペック解説

2014年発売初代全天球カメラ、リコー(RICOH)「m15」
リコーの元祖全天球カメラ「m15」。SやSCが完全に上位互換となっているので、購入すべきではないだろう。
- 画質や明るさがイマイチという意見が多い
- ISO感度が100~400とかなり低い数値
感光部が光を感じる”感度の良さを数値化した”であるISO感度が低く、画質もあまり良くないが、2014年発売時このスペックであることを考えると、大健闘だろう。
2015年10月発売、THETAシリーズ最高スペック。リコー(RICOH)「Theta S」
RICOH デジタルカメラ RICOH THETA S 360°全天球カメラ 910720
前述の「m15」のスペックを格段に上げた機種が「Theta S」。本体に搭載された魚眼レンズで記録した画像を「正距円筒図法」で1枚の写真に合成する仕組み。
SCは前機種と比べ画素数や動画撮影の際のISO感度が向上した。価格は3万円台半ばと少し高めだが、他メーカーの360度カメラと比較しても、かなり満足行くスペックとなっている。
また、「m15」では難しかった暗所での撮影が満足にできるようになった。HDR・シャッタースピード60秒・ISO100で星空の撮影や夕景や薄暗い室内なども、豊富なマニュアル設定をすることで、綺麗に撮影可能。性能の向上により、撮影の幅が広がったのも嬉しい。
前述したが、このTHETA SC発売以降、旅行やレジャーなど家庭用の他、建築現場やリフォーム現場での業務用利用も広がった。
THETA Sをシンプルにして価格を下げたのが。最新機種、リコー(RICOH)「Theta SC」
RICOH デジタルカメラ RICOH THETA SC (ブルー) 360°全天球イメージ撮影デバイス 910743
Theta SCは、Theta Sと比べいくつかの機能を削ったシンプルな機種。しかし、基本的なスペックは変わらず、3万円を切るコスパの良さが大人気となっている。
「THETA S」「THETA SC」の違い
THETA SとSCの違い1:カラー展開
THETA Sはブラック1色

THETA Sは高級感のあるマット加工が施されたブラック1色だ。使用時に滑りにくいという利便性もある。
また、あえてブラック1色ということで、製作者のこだわりを強く感じる。マットなブラックにぴったりの高性能がSCの売りだ。
THETA Sは4色展開

THETA SはSCよりカジュアルに幅広い層に手にとって欲しいという思いからか、ベージュ・ホワイト・ブルー・ピンクの4色展開だ。初代m15シリーズがビビットなビタミンカラーだったのに対して、落ち着いたカラーが印象的。
THETA SとSCの違い2:本体の質感と高級感

▲左がTHETA S、右がTHETA SCホワイト
実際に自由研究社研究員がTHETA S(左)とTHETA SCホワイト(右)を持ってみた時の写真だ。
THETA Sはマットな高級感ある質感。対してTHETA SCはマット加工がないプラスチックのような材質だ。THETA SCはTHETA Sに比べて高級感では劣る。しかし、チープな印象はない。
THETA SとSCの違い3:最大連続動画撮影時間
機能面での最大の違いは、最大連続動画撮影時間だ。THETA Sは最大25分なのに対して、THETA SCは5分と20分短い。もちろん最大5分だとしても、5分後に再度開始ボタンを入れれば言いわけだが、長時間撮影を前提に購入するなら、THETA SCが良いだろう。
THETA SとSCの違い4:ライブストリーミング機能の有無
ライブストリーミング機能とは、本体をライブストリーミングモードにすることで、パソコンにライブ映像を表示できる機能だ。ニコニコ動画やyoutubeなどの生中継以外にも、会議などのビジネスシーンでの利用も増えてきている。他機種と比べてストリーミングの変換速度/転送速度が速いのも嬉しい。
カメラの撮影モードボタンを押しながら電源ボタンを押し、電源をオンにする。USBケーブルかRICOH HDMIケーブルで本体とPCを接続し、PC側で設定を行えば開始できる。
THETA SとSCの違い5:HDMI端子の有無
前述したが、THETA Sではライブストリーミング機能があるため、HDMI端子が接続できる。対してTHETA SCはそれが無い。PCと繋いだり、テレビに映し出したりしたい人は、THETA Sを選ぼう。
THETA SとSCの違い6:専用アプリでの機能の制限
THETAには全天球イメージを撮影・閲覧・共有できるスマートフォン用がある。細かい話だが、THETA SCでは「色温度指定撮影」「インターバル合成撮影(タイムラプス用)」「マイセッティング」の機能が使えない。
THETA SとSCの違いまとめ
以上のように、THETA SCはSの機能をシンプル化した機種だ。機能を省いた分価格も抑えられた。また本体重量も約20g軽量化され、よりポータブル性が向上した。
項目 | Theta S | Theta SC |
---|---|---|
外形・寸法(幅×高×奥行)(mm) | 44 × 130 × 22.9 (17.9※) | 45.2 × 130.6 × 22.9 (17.9※) |
質量 | 約125g | 約102g |
カラー | 1色:ブラック | 4色:ベージュ、ホワイト、ブルー、ピンク |
有効画素数 | 約1200万画素 | 約1200万画素 |
動画1回の記録時間(最大) | 25分 | 5分 |
ライブストリーミング機能 | あり(UVC,HDMI) | なし |
外部インターフェース | USB,HDMI | USB |
内蔵メモリー | 約8GB | 約8GB |
アプリケーション | iOS/Android/PC | iOS/Android/PC |
「THETA S」「THETA SC」共通のおすすめポイント
60秒の長時間露光で星空も撮れる

▲THETAで撮影した夜景
「THETAは星空が撮れる」という口コミも多いが、本当に撮れる。
イメージセンサー(撮像素子)と呼ばれる、光を取り込み電気信号に変換する部分が、従来よりも大きい1/2.3型になり、暗所でもマニュアル撮影で調整をすることで、綺麗に撮影ができるようになった。
THETA専用アプリの充実
THETAの専用アプリを使えば、撮影時に以下のような様々な設定ができる。
- モード切替
- オート
- シャッター優先
- ISO優先
- マニュアル
- 露出補正(EV)
- ホワイトバランス
- セルフタイマー撮影
- インターバル撮影
- ライブビュー(画像を確認しながら撮影可能)
- 色温度指定撮影(THETA Sのみ)
- インターバル合成撮影 (THETA Sのみ)
- マイセッティング (THETA Sのみ)
実際に使用してみて便利だと感じたのは、専用のアプリでライブプレビューができることだ。スマホから位置を確認した後に撮影ができて、すごく便利。
撮影後はFacebook/LINE/youtube/Twitterなどで共有が可能。スマホの機種問わず、リンクを教えるだけでクラウド上で友人と共有できるのも嬉しい。
また、専用編集アプリ「THETA+」や「THETA+ Video」では、撮影した動画や画像を加工し、SNSにシェアができる。
動画/画像を簡単にVRモード鑑賞できる
撮影した動画や画像をVRモードへの変換し、スマホをVRヘッドセットに差し込めば、撮影時の臨場感をそのままVRで追体験できる。
実際にTHETAをヘッドセットに入れて動画を見てみたが、物凄い臨場感だった。VRヘッドセットは、数千円のものでも問題なく見れた。ダンボールなどで自作したものでも視聴可能だ。
三脚の穴は持ち歩きにも便利

▲THETA Sの本体底部分
本体底に三脚がセットできる穴がある。三脚を付けるだけではなく、ネジとリングが付いているアダプターをつければ、ストラップ装着も可能だ。カラビナなどのアクセサリを使って、ぶら下げれば持ち運びも楽々。
USB接続をしたまま充電ができる
USB接続が可能で、充電しながらの長時間撮影ができるのも便利。モバイルバッテリーを旅行先に持っていけば、充電切れの心配もない。
「Theta SC」の撮影イメージ
下記写真を基準として、撮影イメージを見ていこう。

下記は1枚目の写真を左に水平移動させた写真だ。画像のゆがみもなく、綺麗。

▲1枚目の写真を左に水平移動させた写真
下記は1枚目の画像の位置からローアングルにしたものだ。魚眼レンズ感のように周りが丸く歪む。

▲1枚目の画像をローアングルにした写真
下記は1枚目の画像の位置から、ハイアングルにした写真だ。背景などを広角で撮影できるので、集合写真などにおすすめ。

▲1枚目の画像をハイアングルにした写真
下記は1枚目の画像の位置を拡大した写真。ズームしても高画質を保てていることとが分かるだろう。安価なショボい機種だと、全天球カメラで撮った感はでるが、ディテールまで楽しめない品質となってしまう。せっかく、場の雰囲気を切り取れることが特徴の全天球カメラなのだから、高精細に撮れる製品を選んでおくことをおすすめする。

▲1枚目の画像の位置を拡大した写真
THETA以外の360度カメラはどう?
2014年以降、リコーを始め各社が360度カメラを展開してきた。アクションカメラで有名なGoProやインタニヤ、2016年10月にはNikonが「KeyMission 360」を発売したりと、国内メーカーも健闘中。
Galaxyがあれば「Gear 360」もアリ
Galaxy 全天球カメラ Gear 360 Galaxy S7 edge / S6 / S6 edge対応 ホワイト SM-C200NZWAXJP
THETA以外に売れ筋なのが、Samsungの「Galaxy 全天球カメラ Gear 360」だ。手のひらサイズのコンパクトなボディが人気。
Galaxy S7 edge / S6 / S6 edge等に対応しており、この機種のスマホをおもちであれば候補に入れても良いだろう。持っていなければ、機能が制限されてしまう。
iPhoneがあればINSTA360 Nano 360°もアリ
INSTA360 Nano 360°全天球パノラマ式カメラ 超HD3K デジタルカメラ 二つの超広角魚眼レンズ 210°+ 210° VR体験
iPhoneユーザーにはinsta nanoもおすすめ。 iPhone 6 /iphone 6 plus /iphone 6s / iphone 6s plusに対応している。3040×1520高解像度を誇りながらも、25000円を切るリーズナブルな価格設定が人気。
まとめ
いかがだっただろうか。いつもの日常や飲み会、旅行にTHETAを持っていけば、その場の雰囲気を忠実に切り取ることができるだろう。実際に手にとって見て、これからのスタンダートは360度カメラになるに違いないと感じた。是非いち早く手に入れて、この感動を味わってほしい。
【参考】「THETA SC」のスペック
【撮影距離】 約10cm~
【撮影モード】 静止画:オート、シャッター優先、ISO優先※5、マニュアル
動画:オート
【露出制御モード】 プログラムAE、シャッター速度優先AE、ISO感度優先AE、マニュアル露出
【露出補正】 静止画:マニュアル補正(-2.0~+2.0EV 1/3EVステップ)※5
【ISO感度(標準出力感度)】 静止画:ISO100~1600 / 動画:ISO100~1600
【ホワイトバランスモード】 静止画:オート、屋外、日陰、曇天、白熱灯1、白熱灯2、昼光色蛍光灯、昼白色蛍光灯、白色蛍光灯、電球色蛍光灯 動画:オート
【シャッタースピード】 動画:(L)1/8000秒~1/30秒、(M)1/8000秒~1/15秒
【記録可能枚数、時間※1】 動画(1回の記録時間):最大5分 /動画(M)約171分※6
【電源】 リチウムイオンバッテリー(内蔵)※2
【画像ファイル形式】 静止画:JPEG(Exif Ver2.3) DCF2.0準拠 / 動画:MP4(映像:MPEG-4 AVC/H.264、音声:AAC)
【リモートレリーズ】 CA-3に対応
【レンズ構成】 6群7枚 / レンズ_F値: F2.0
【撮像素子_サイズ】 1/2.3 CMOS(×2) / 有効画素数: 約1200万画素(×2)
【静止画解像度】 L:5376×2688、M:2048×1024
【動画解像度/フレームレート/ビットレート】 L:1920×1080/30fps/16Mbps
M:1280×720/15fps/6Mbps
【参考】「THETA S」のスペック
【撮影距離】 約10cm~∞(レンズ先端より)
【撮影モード】 静止画:オート、シャッター優先、ISO優先※5、マニュアル
動画:オート
ライブストリーミング:オート
【露出制御モード】 プログラムAE、シャッター速度優先AE、ISO感度優先AE、マニュアル露出
【露出補正】 静止画:マニュアル補正(-2.0~+2.0EV 1/3EVステップ)※5
【ISO感度(標準出力感度)】 静止画:ISO100~1600
動画:ISO100~1600
ライブストリーミング:ISO100~1600
【ホワイトバランスモード】 静止画:オート、屋外、日陰、曇天、白熱灯1、白熱灯2、昼光色蛍光灯、昼白色蛍光灯、白色蛍光灯、電球色蛍光灯※5
動画:オート
ライブストリーミング:オート
【シャッタースピード】 静止画:(マニュアルモード以外)1/6400秒~1/8秒、(マニュアルモード)1/6400秒~60秒
動画:(L)1/8000秒~1/30秒、(M)1/8000秒~1/15秒
ライブストリーミング:(USB)1/8000秒~1/15秒、(HDMI)1/8000~1/30秒
【記録可能枚数、時間※1】 静止画:(L)約1600枚、(M)9000枚
動画(1回の記録時間):最大25分もしくはファイルサイズの上限4GB※6
動画(合計記録時間):(L)約65分、(M)約175分※6
【画像ファイル形式】 静止画:JPEG(Exif Ver2.3) DCF2.0準拠
動画:MP4(映像:MPEG-4 AVC/H.264、音声:AAC)
ライブストリーミング:(USB)MotionJPEG
【外部インターフェース】 Micro USB端子:USB2.0
HDMI-Micro端子(Type-D): HDMI 1.4
【レンズ_F値】 F2.0
【撮像素子_サイズ】 1/2.3 CMOS(×2)
【有効画素数】 約1200万画素(×2)
【出力画素数】 約1400万画素相当
【静止画解像度】 L:5376×2688、M:2048×1024
【動画解像度/フレームレート/ビットレート】 L:1920×1080/30fps/16Mbps
M:1280×720/15fps/6Mbps