キングストンのゲーミングヘッドセット「HyperX」シリーズの中でも上位モデルであるHyperX Cloud Revolver。スタジオレベル音質と名高いプロゲーマー御用達の本機ですが、実際のクオリティが気になりますよね。そこで今回スタッフの実機使用感を基にしたレビューをお届けします。ゲームやオーディオリスニング、音声チャットと様々な角度から製品の実力を明らかにしていきます。
ゲーミング関連ニュース
HyperX Cloud Revolver とは
主な機能・特徴
- スタジオグレードのサウンドステージにより、敵に気付かれる前に敵の発する音に気付くことができます。
- HyperX独自の低反発クッションにより、最高の快適性を実現
- 耐久性と信頼性に優れた頑丈なスチールフレーム
- TeamSpeak™ およびDiscordの認証を受けたクリアなコミュニケーションを可能とするノイズキャンセリングマイク
- 次世代型50mm指向性ドライバーが正確でメリハリのあるオーディオを再生
- マルチプラットフォーム対応 – あらゆるゲーミングニーズに応える高品質なヘッドセット
HyperX Cloud Revolver はプロゲーマーの使用を焦点に当てた、ゲーミングヘッドセットカテゴリの中でもミドル~ハイクラスに位置付けられる上級機種だ。
数多くのトッププロゲーマーが使用しているため、一般コンシューマー間でも国内外問わず最も人気の高いヘッドセットの1つとなっている。
本機はシリーズの中でも最新作で、旧作から外観、中身を全て一新しており、シリーズ最高傑作とも言えるような高い評価を得ている。
スペック
再生周波数 | 12Hz~28,000Hz |
音圧レベル | 104.5dB |
インピーダンス | 30Ω |
入力電力 | 30mW~500mW |
マイク周波数 | 50Hz~18,000Hz |
マイク感度 | -40dBV |
接続 | ヘッドセット部:3.5mm4極プラグ コントロールボックス部:3.5mmステレオ及びマイクプラグ |
ケーブル長 | ヘッドセット:1m コントロールボックス:2m |
実機レビュー
外観
イヤーカップとヘッドバンドを支えるアームは金属製で、ヘッドバンドのレザー感、その他のパーツもマットな作りも相まって高級感のあるクールな仕上がりとなっている。
大口径ドライバーを採用し、装着感にもこだわっているだけあってイヤーカップはだいぶ大きい。
▲赤と黒が基調の筒状の外装は本機のカラーリングをイメージさせる。
▲外装をスライドさせると中から高級感のあるシンプルなボックスが現れる。
▲梱包は十分にクッション材が充てがわれている。写真中央部にあるのはコントロールボックス。なおこの他に開封時には簡易説明書等が付属している(写真省略)。
▲全体としてはこの様なフォルム。手と比べてみて分かる通り、ヘッドバンドもイヤーパッドもクッションがかなり厚め。重量はさほど感じない。
▲マイクは着脱式になっており、不要時は外しておくことができる。外したときのイメージはこちら。
形状にも注目してほしいが、単に3.5mmプラグを挿すだけではなく、くぼみを設けることでマイクのズレ防止が期待できる。
▲見かけは硬そうだがマイクは簡単に曲げて形状記憶させることができる。この様にマイクを曲げたりするときに先程の端子のくぼみの固定力が活きる。
装着感
装着感についても非常に評判の高い本機だが、これについては全く異論なしだ。
ヘッドバンドは可動範囲が大きくクッション性も高いため、頭頂部の締め付けは皆無に等しい。
そこを基点に自然に耳へイヤーパッドが垂れ下がってくるイメージだろうか、耳への締め付けも殆ど感じられない。これは非常に厚手のイヤーパッドのお陰だろう。
また筆者はごく平均的な成人男性であるが、耳が大きめなので多少の窮屈感を覚悟していたのだが、全く無用な心配であった。
写真でも分かる通り、内部のスペースはかなり広い。
旧作では窮屈感の報告もあったようだが、本作ではそういった声は上がってこないだろう。
▲1円玉3枚が横に重ならずに並ぶ。
サウンド
第一印象
サウンドを確認する前に、ヘッドホンを装着してすぐに「密閉型ヘッドホン」であることを疑った。
密閉度の高いヘッドホンは無音状態でも周辺の音を遮音するが、本機は会話に支障がない程度に周りの音が聞こえる。
開放型ほどではないが、実質セミオープン寄りの密閉型ヘッドホンと呼べそうな感覚だ。※実際に音を鳴らすと、外への音漏れは殆どない。
モニターヘッドホンライク
音色は限りなくフラットでモニターヘッドホンに近い。
低音が強めという口コミを目にしていたのだが、その印象はあまり受けなかった。
実際波形を見ても低音ブーストの様子はない。
▲周波数特性。ちなみに前作であった高域の谷がなくなり、滑らかで精密な高域表現が可能となっている。
ちなみにPCオンボードのサウンドボードや、スマホからでは100kHz以下あたりの超低音が殆ど鳴らしきれなかった。
DACとヘッドホンアンプを通して初めて低音までしっかりと響くので、再生環境を選ぶ点でも少しモニター的なところがある。
サウンドステージの広さは公式の謳い文句通り
音を確認して、その音場の広さに非常に驚いた。スタジオレベルというのは伊達ではない。
恐らく5万円以上のクラスの高級オーディオヘッドホンでも、密閉型でここまで拾い音場(サウンドステージ)を作れるヘッドホンは滅多に無いのではないだろうか。
先述の第一印象とも関係あると思うが、開放型ヘッドホンに近い音場の広さを持っている。この音場感こそ本機の最大の特徴、長所であることは間違いない。
音場が広いということは敵の距離をより正確に把握できるし、音楽においても楽器の音の範囲やホールの広さなどが伝わってくるということだ。
この時点で既に有り得ないほど高いコストパフォーマンスを本機が持っているということがわかった。
音場の特徴
音場は広いと述べたが、少し癖がある。高音であるほど音場のレンジが広く、定位の精度も増すという性格のようだ。
音場がかなり広さなので、ちょっとした音源の方向の違いでも顕著に現れる。
だが中域・低域になると一回り音場が狭くなる印象を受けた。(あくまで高域と比べてであって、一般的な密閉型ヘッドホンの比ではない広さ)
定位の特徴
さすがゲーミングヘッドセットだけあって、パンニング(左右の音量差による定位表現)が物凄くセンシティブだ。極端とも言える。音楽鑑賞ではパンニングが効きすぎると感じる場合もある。
特に高域が緻密で音像がくっきりしており、解像度が高いというのはこのことかと感じられる。
マイク・接続系
低品質って本当?
マイクはエコーが入る、ホワイトノイズが入るという意見を事前に耳にしていたので期待していなかった。
試しに同室内でのインターネットチャットを行い、着信側の音声は楽曲制作用のモニタースピーカーで再生した。つまりスピーカーから筆者の声が聞こえるので、普通であれば必ずエコーが発生する状況を作った。
しかし実際に確認したところ、全くそういった問題は見受けられなかった。エコーキャンセリングはしっかり効いているし、目立ったホワイトノイズも筆者には聞こえなかった。
感度について
通常の話し声程度だと全く問題なく拾い、小声でもマイクを近付ければ十分に聴き取れる音質で拾い上げてくれる。
マイクアームが簡単に曲げられるので、口からの位置をきちんと調整すれば感度調整は簡単にできる印象を受けた。
ただマイクの指向性がカーディオイド型(単一指向性)で、収音角度が割と狭い。口に対してマイクが垂直になると全く声を拾わない。
恐らくマイクアームは常に多少曲げて使うことになるだろう。環境音を拾ってしまうことはなさそうだ。
ただ指向性に応ずるために自身にマイクを向けると「吹かれ」によるノイズが入りやすい。これはクリアで繊細な収音を可能とするコンデンサーマイク採用によるものなので、割り切るべきトレードオフでもあるが、少々気になってしまうポイント。
話声のボリュームと、吹かれのバランスを見ながらマイク位置を調整する必要がありそうだ。
▲内側に目一杯曲げて形状記憶させてみた写真。このまま装着すると口に密着する程度。
▲外側にも曲げられる。かなり可動域が大きい。この柔軟なマイクアームなら人それぞれベストなポジションに調整することは可能そうだ。
ヘッドセットの端子
本機の入出力系はは、ヘッドセット部とコントロール部の2つに分かれている。
▲ヘッドセット左下部から1mのケーブルが伸び、そこに3.5mmステレオミニプラグが付いている。
ケーブルは頑丈な作りで断線の心配もなさそうだ。
▲ヘッドセットを写真のコントロールボックスに接続すると、そこから2本のケーブル(サウンド、マイク)に分岐する。緑がサウンド用で赤がマイク用だ。
こちらも同様に頑丈なケーブルなので安心だ。
コントロールボックスはスライドスイッチ型のミュートスイッチと、ボリューム調整ダイヤルが付いている。裏面はクリップ式になっているので襟元や胸ポケットに引っ掛けることが可能だ。
まとめ
HyperX Cloud Revolver の印象
密閉型なのが信じられないほど広い音場をもち、高い解像度で繊細な定位表現をしてくれるヘッドホン。
ゲーム環境も音楽環境も数段上のグレードに押し上げてくれること間違い無し。
価格設定を誤ったのではと不安になるほど安く、コストパフォーマンス抜群。
下手なヘッドホンを買うよりも本機を買っておけば間違いないと筆者は感じた。
良い点
- 感動するほど広い音場
- 窮屈感のない装着感
- 不思議でならない圧倒的なコストパフォーマンス
悪い点
- そこそこの再生環境を要求する
- マイクの吹かれが起こりやすい
最後に
ゲーミングヘッドセットのまとめ記事でも本機をトップレコメンドとして紹介しているが、改めて本レビューを通してHyperX Cloud Revolverを推奨したい気持ちが伝われば幸いだ。かくいう筆者もゲームだけでなく普段使いのヘッドホンとしても使うほどに愛用している。
高級密閉型オーディオ用ヘッドホンを凌駕するクオリティをもった本機をぜひとも試してみてほしい。