開放型との違いは?密閉型ヘッドホンのメリットとおすすめ機種を紹介

FOSTEX ヘッドホン

密閉型と開閉型、どちらを選ぶべきか迷っている方。実際どんな点で開放型と違いがあるのか、その特徴や選び方を解説しながら、おすすめの密閉型ヘッドホンをご紹介します。

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密閉型ヘッドホンのメリット

開放型ヘッドホンのメリットは何と言ってもその遮音性。周囲の環境音が聴こえにくいため、リスニングに集中することが可能だ。そして音漏れもしにくく、ロケーションを選ばない。

音質面も、音が抜けていきにくい性質のためヘッドホンでありながら低音が響きやすく迫力あるサウンドを得やすい特長がある。

おすすめの密閉型ヘッドホン

MASTER&DYNAMIC MH40

出典:www.amazon.co.jp
MASTER&DYNAMIC
マスター&ダイナミック
MH40
密閉型オーバーイヤーヘッドホン

目にした瞬間に惹き込まれる洗練されたデザイン― MASTER&DYNAMICはニューヨークに拠点を置くオーディオメーカーで、次のような哲学をもっている。

極めるということは、ダイナミックなアプローチが必要な果てなき探求であると我々は信じている。
音は触媒であり、強力なクリエイティビティの要素である。
我々はヘッドホンを、現代における熟考の冠、すなわち心を集中させインスピレーションをもたらしてくれるツールだと捉えている。我々はクリエイティブなマインドのために、オーディオツールを生み出していく。
原文: www.masterdynamic.com

この哲学がまさに体現されたかのような素晴らしいデザインをMH40は備えている。細部にも一切の妥協を感じない。

イヤーカップは高級感溢れるアルミ製ボディで、イヤーパッドはラムスキンを採用し柔らかなフィット感と高い遮音性をもたらしてくれる。

またヘッドバンドは牛皮革(ヘビーグレイン・カウハイド)とこだわりと感じる。

▲ イヤーカップ調整はスタイリッシュで強固なステンレススティールシャフトで行える。

画像引用元:phileweb.com

音色は、ラウドな低音ではなく温かみのある肉厚な低音という印象だ。低域がしっかりと深くまで表現されるが、中域高域を潰すことはない。

全体的にウォーミーでボーカルの伸びが非常に優れている。密閉型とは思えぬほどの広い音場感を与えてくれるだろう。

なおメタリックで無骨なデザインで重量感が気になるところだが、実際に装着してみたところフィット感は抜群。イヤーパッドも柔らかく頭部にフィットし疲れを感じさせない包容力があった。

ただそのウォーミーなキャラクターゆえ、キレ・ラウドネスを求めるタイプのロックサウンドや、ダブステップなどを中心に聴くユーザーには少し物足りないかもしれない。ジャンルを問わず厚みのある音を体感されたい方はぜひ一度手にしていただきたい。

MH40とは別に折りたたみ機構など採用したポータブルユース機のMH30も、気になる方は併せてチェックしてみるといいだろう。

SENNHEISER(ゼンハイザー) URBANITE XL WIRELESS

出典:www.amazon.co.jp
SENNHEISER
ゼンハイザー
URBANITE XL WIRELESS
Bluetooth対応

名門SENNHEISERでも手の届きやすい、ワイヤード・ワイヤレスのハイブリッドモデル。

伝送はBluetoothだが、解像度が高く、音のつぶ立ちが非常に良い。スピード感のある楽曲でも心地よくビートを捉えてくれる。実際に聴くとこれほど細かな音の山を取り逃がさないヘッドホンは珍しいと感じた。

スタイリッシュなデザインでケーブル着脱式のハイブリットという利便性を兼ね揃えており、ゼンハイザーの高品位なサウンドに惹かれる方なら誰にでもおすすめできる。

Panasonic (パナソニック)RP-HTX7

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B000FF55UK
Panasonic
パナソニック
密閉型ヘッドホン

他の名門ブランドと併せてPanasonicの大衆向けモデルを紹介するのには理由がある。

本機は発売から10年経っても街頭で身につけている方をよく見かける同社のロングセラーモデルだ。

正直そこまでタフではなく、長年使用すると、デザインが素晴らしいシャフト周りやイヤーパッドにガタが来る。装着感も際立って良い訳でもない。

しかし、よく鳴る。低音も響く。音像もくっきりと見えバランスの取れた密なサウンドを生み出してくれる。オーディオテクニカのサウンドをもう少しウェットにし低音を補強したイメージだろうか。

金属的ではなく尖い角は取れた音ではあるが、柔らかさや温もりがある音でもないので、JBLサウンドのような音色を好む方には不向きかもしれない。

この価格帯でこのサウンドは圧倒的に他機種を凌駕しており、デザイン性も大変素晴らしい。これをもって出かけたくなるような、そんな心地にさせてくれる。

もちろん中級機には敵わないし、音場の広さなどはAKGの開放型エントリー機などにも敵わないが、安価な密閉型ヘッドホンで、デザイン性も加味して高音質なものを選ぶのであれば、迷わず本機を推薦したい

Skullcandy(スカルキャンディー) CRUSHER

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Skullcandy
スカルキャンディー
密閉型ヘッドホン
CRUSHER
SKULL CANDY ヘッドホン

重低音を楽しみたい方はSkullcandyのCRUSHERがおすすめ。

本機はなんとパワーアンプを搭載しており、内蔵サブウーファーが文字通り「振動」する

オモチャの様な機能と思うかもしれないが、実際にこれを体感してみると予想外に楽しく迫力を感じる。音漏れも少なく迫力のあるサウンドで、いつでもどこでも気分を上げられる

振動のオン・オフの切り替えはワンタッチで可能だ。ヘッドホンの新たな可能性を見出し未知の音楽体験を創り出したSkullcandyのCRUSHER、ぜひその驚きを体感してみてほしい。

SHURE ヘッドホン SRH1540

出典:www.amazon.co.jp
SHURE
シュア
密閉型 スタジオ用ヘッドホン
SRH1540

40mmネオジムドライバーを採用し、クリアーで伸びのある高域とウォームな低域を伴う広大なサウンドステージを実現。

スタジオ用ヘッドホンとしても使用されるだけあり、エネルギー分布に偏りがなく忠実に音を再現してくれる。しかしモニターヘッドホンになりすぎずリスニング用としても快適なバランス感が魅力。

audio-technica ATH-MSR7 BK

出典:www.amazon.co.jp
audio-technica
オーディオテクニカ
密閉型ポータブルヘッドホン
ATH-MSR7

オーテクの人気密閉型ヘッドホン。ハイレゾヘッドホンでもあり、幅広い音域が特徴(周波数帯域(L):5Hz, 周波数帯域(H):40000Hz)。

高駆動設計ダイヤフラム&ボビン巻きショートボイスコイルを採用。各音域のバランスを調整するデュアル・アコースティックレジスター。音の歪みを抑えるトップマウントPCB方式。

URBANEARS HUMLAN

出典:www.amazon.co.jp
URBANEARS
アーバンイヤーズ
HUMLAN
オンイヤー型ヘッドホン

スウェーデン生まれのシンプルなデザインが魅力的なURBANEARSのHUMLAN(フムラン)。

イヤーパッドとヘッドバンドはなんと洗濯可能。

スタイリッシュにかつ清潔に、長く使い続けられる本機でミニマルな音楽ライフを満喫しよう。

Marshall MAJOR II

出典:www.amazon.co.jp
Marshall
マーシャル
MAJOR II
オンイヤー型ヘッドホン

ギタリストにはお馴染みのMarshallの、MAJORがさらなる進化を遂げたヘッドホン。

ロックサウンドを奏でるのにふさわしい締まった低音が特長。

Marshallのブランドとこのデザインに憧れる方におすすめだ。

AKG(アーカーゲー) Y50

出典:www.amazon.co.jp
AKG
アーカーゲー
密閉型ヘッドホン
Y50

低価格ながら鮮明な解像度と誇張感のない自然なサウンドバランスで人気の密閉型ヘッドホン。

イエロー、ブルー、レッドなど、カラフルなカラー展開も嬉しい。同シリーズのY40と比較して、ハウジングを大きく確保してある。そのため40mm径ドライバーながら余裕のあるワイドレンジ再生が実現している。

2017年4月発売 Pioneer SE-MONITOR5

出典:www.amazon.co.jp
Pioneer
パイオニア
SE-MONITOR5
密閉型ヘッドホン

“低域”と“空間表現”に注力したパイオニア渾身のハイエンドヘッドホンがこちら。

5Hz~85kHzの広帯域再生ができる、フリーエッジ構造を、振動板にはセルロースナノファイバーを世界で初めて採用。エッジにはリニアリティーが高く、不要な共振の少ないエラストマーを採用。

細部にまでこだわった一品だ。

パナソニック 密閉型ヘッドホン ハイレゾ音源対応 RP-HD10-K

出典:www.amazon.co.jp
パナソニック
Panasonic
密閉型ヘッドホン
RP-HD10-K

コストパフォーマンスが高いハイレゾイヤホンとしても人気の密閉型イヤホン。

再生周波数帯域は4~50,000Hzと、同価格帯と比較して広め。手軽に高解像度・高音質ヘッドホンを手に入れたい人には強くおすすめできる一品だ。

SONY 密閉型スタジオモニターヘッドホン MDR-CD900ST

出典:www.amazon.co.jp
SONY
ソニー
密閉型ヘッドホン
MDR-CD900ST

スタジオモニターヘッドホンとしてよく見る定番の密閉型ヘッドホン。業務用として広く使用されているだけありノイズまで全て聞こえるので、音楽鑑賞用として最適だとは言えない。しかし、音源そのものをリアルに聞きたい人に最適。

密閉型ヘッドホンとは

ヘッドホンには大きくかけて開放型と密閉型の2種類のタイプが存在する。半開放型(セミオープン)なども存在するが、まずはそれぞれの特徴・違いを押さえよう。

密閉型と開放型の違い

密閉型と開放型ヘッドホン

▲ 左)密閉型ヘッドホンと 右)開放型ヘッドホン 密閉型と開放型の相関関係は下表の通りだ

画像引用元:http://www.sweetwater.com/
比較点 相関関係 密閉型 開放型
低域レスポンス 非常に良い 良い
音場 平均的 非常に良い
音漏れ 良い 悪い
ノイズ遮断性 良い 悪い
快適性 弱  良い 非常に良い

密閉型(クローズド)

密閉型ヘッドホンは音を増幅する部分であるハウジング(イヤーカップ)に穴がないものを指す。ハウジングが共鳴箱の役割を果たし低音を増幅させるため、重低音の表現力は開放型より優れている

弦楽器を見てわかる通り、音の増幅には共鳴箱が必要で、高音から低音になるほどそのサイズは大きいものが要求される。ヘッドホンにおいてもハウジングの密閉空間は重要な増幅機構の役割を果たすのだ。

またハウジングが閉じていることで音漏れも小さく、環境ノイズの遮音性も高いため、インドア/アウトドアの両方で使用するのに最適だ。ノイズキャンセリング機構を搭載したヘッドホンもこの密閉型に多く、騒音環境であれ静音環境であれ、深いベースレンジを感じながら没入感を得ることが出来る。

開放型(オープンエアー)

開放型ヘッドホンは一般的にハウジングに穴が空いており、メッシュやグリルでカバリングされている。密閉型と異なり、ドライバー(音の出る機構)から出力された音が、反射することなく空気を伝搬して忠実に耳に届くため、音の抜けが良くなり広い音場を感じることが出来る

頭上のヘッドホンからというよりは、部屋に設置したスピーカーからの音を聴いている感覚に近い、自然な音場と没入感が最大の魅力だ。クラシックを聴けば、まるでホールで聴いているかのような端の見えない広い音場に驚かされる。この点において密閉型よりも圧倒的な優位性をもっており、室内用ハイエンドモデルも多くはこの開放型ヘッドホンだ。

その代わり、音漏れは大きく、環境ノイズも許してしまうことになるため、室内での利用が主な用途となる。周囲の人の話し声も聴き取れる。

なお軽く蒸れにくいといった装着面での特性もあるため、夏場や長時間のリスニングにも向いている点も覚えておきたい。

一方でハウジングでの低音の増幅が出来ないため、強い重低音はあまり期待できない。この点は広い音場による臨場感とトレードオフだろう。なおハイエンドモデルでは大型ドライバーで弱点を克服しているものもある。

密閉型ヘッドホンの選び方

音質

一重に音質と言っても、その切り口と好みは人それぞれだ。ここでは幾つか選定のために注視したいポイントを紹介する。

音場感

密閉型ヘッドホンにおいては、デメリットである音場の狭さをどの程度克服しているかがひとつの視点となる。

音場が広ければ広いほど閉塞感が消え高い臨場感を得られ、音も伸びやかに感じるはずだ。

解像度

細かな音をクリアに聴くことが出来るかはとても重要だ。

密閉型ヘッドホンは低音再生に強いが、この点で過度なブーストがなく音の埋もれがないかなども注意しておきたい。

音圧感度

のスペックに「dB」単位で示される音圧感度という項目がある。一般的なヘッドホンは90dB~110dB前後だ。平たく言えば音圧感度が高いほど音は大きくなる。厳密にはここからさらにインピーダンス(≒抵抗)の大小に最終的な音の大きさが変わってくる。ハイエンドモデルは低音圧感度でハイインピーダンスであることが多いが、その場合に音量を出すためにはヘッドホンアンプが必要となってくる。

どうしても出力が確保できないポータブルデバイスでの再生環境などであれば、音圧感度が高く、インピーダンスは高くないヘッドホンを選ばれたい。でなければデバイス側で大きいサウンド出力が必要となり、あっという間に電池が切れてしまう。

フィット感

イヤーカップの形状

一般的に言えばイヤーカップが大きくドライバー口径が大きいものがベースレスポンスがよい。ハウジングサイズが小さいとどうしても十分な低域増幅ができない場合が多い。自身がどのような音色を求めるかに従って、イヤーカップの形状は1つの目安ともなるので注目しておくとよいだろう。

ただ大きいイヤーカップは、眼鏡を着用しながら長時間装着すると、ヘッドホンの側圧でこめかみへ負担をかけてしまう恐れがある。

心配であれば、耳を包み込まず乗せるだけのオンイヤー型という形状もあるので、開放型にはあまり多くはないが候補に含めてみるといいだろう。

イヤーパッド

先の通り、メガネやサングラス着用とヘッドホン着用の相性が悪い場合があるが、柔らかく厚手のクッション素材でイヤーパッドが構成されていれば負荷を緩和しストレスなくリスニングすることも出来得る。

またよく見かけるイヤーパッド素材として人工皮革が挙げられる。こだわりたい方にはレザーのモデルを試してみてもよいだろう。ただ夏場の使用で急激に劣化が進む恐れもある。イヤーパッドがボロボロに剥がれてしまう経験をしたことがある方も多いはずだ。

そんな際は、汎用的なイヤーパッドカバーが販売されており、メッシュ系素材やベロア素材といった様々な製品が流通している。イヤーパッドの劣化を防ぎながら蒸れを解消する優れものだ。ヘッドホンの寿命を伸ばしつつ自分なりのカスタマイズもできるため、併せて入手を検討するとよいだろう。

無線(ワイヤレス)にするか

開放型よりも密閉型ヘッドホンはワイヤレス型のモデルを多く流通している傾向にある。

ワイヤレスで主流なのはBluetooth接続方式と、メーカー独自の2.4GHz帯接続方式だ。

前者は汎用性が高く様々な機器と接続できるメリットがあるが、音質は悪いというデメリットをもつ。

後者は専用の送受信機さえあれば高音質で伝送できるメリットがあるが、接続機器の多様性は低いというデメリットがある。

Bluetoothに関しては、まだ対応プレーヤーが少ないものの、ハイレゾ相当の音質をもつapt-X HDコーデック対応のヘッドホンはここ最近で随分と増えたので、将来的にはピュアオーディオを求めない限りは送受信機を使った接続方式は主流ではなくなるだろう。 

最後に

密閉型ヘッドホンは流通量も多く、どれを選ぶべきか迷いがちだ。

ここで紹介した密閉型のヘッドホンの特長や選び方を参考にした上で、自身の好みや条件を明確化して、お気に入りのモデルを見つけてもらえると嬉しい。

最終更新日:2018/12/18