ハイレゾ音源の普及や、ハイスペックなDAPやポタアンの登場により、ポータブルシーンで高音質なサウンドを聴くことはずっと身近なものになりました。そこでイヤホンにおいてもハイエンドモデルにグレードアップを考えているという方のために、おすすめのイヤホンを紹介し、選定のための比較ポイントを徹底解説します。
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おすすめの高級イヤホンランキング
第1位:JH Audio Michelle
Astell&KernとJH Audioのコラボ作品。
伝説的なエンジニア、ジェリー・ハービー氏の技術が結集したJH Audioサウンドを体感してみてほしい。
エネルギッシュでスピード感溢れ、解像度の高いサウンドは、疾走感あるギターロックなどで本領を発揮する。
ヴォーカルの息遣い、ギターの指使いまでイメージが湧くような感覚に浸れることだろう。AKシリーズと接続できるようバランスケーブルが付属している点も素晴らしい。
より高級志向なら、Astell&Kern AK T8iE MkII
Astell&Kernとbeyerdynamicのコラボモデルで、ワンランク上の音質を楽しめるTESLA(テスラ)テクノロジーを搭載したハイエンドイヤホン。
音質だけでなく小型で装着感が良い点も嬉しい。ポタアンなしでも低音が響き、残響音まで聞き取れる緻密な設計で高評価を得ている。
第2位:SHURE(シュア) 535 Special Edition
圧倒的な解像度と音の分離感をもつイヤホン。
癖やギラつきはないが音のエッジが感じ取られ、ローエンドのディティールも抜群。
フラットな特性で味付けもないので、本格的な高音質イヤホンにグレードアップしたい方なら誰にでもおすすめできる。ドンシャリや重低音を求める方にはおすすめしない、原音忠実派にはおすすめだ。
第3位:JVC KENWOOD HA-FX1100
個性的なイヤホンだが、一言で表すなら、ダイナミック型ドライバーの魅力を体現したイヤホンだ。ダイナミックらしく豊かな低音の量感と、広いダイナミックレンジが素晴らしい。
ハウジングは木製で、ダイナミック型ドライバーと相まってナチュラルで広がりあるサウンドをもたらしてくれる。カナル型イヤホンだが、音場の広さも文句なしだ。
臨場感のあるサウンドをカナル型イヤホンで楽しみたい方におすすめしたいただやはりJVCで低音遍重となっており好みがはっきり分かれる。
第4位:SENNHEISER(ゼンハイザー) IE800
1945年にフリッツ・ゼンハイザー博士(Dr. Fritz Sennheiser)によりドイツで創業したゼンハイザー。
IE800はドイツの同社工場でハンドメイドで製作されるハイエンドモデルだ。ソリッドなデザインだけでなく、パッケージやアクセサリーにも高級感が溢れる。
高域の伸びが大変優秀であり、低域もかなり底まで感じ取られ分離感も良い。確かな定位感で深い奥行きがあり、バランスについても申し分ない。
まるで音源が眼前に迫っているような感覚を覚えるイヤホンである。遮音性はそこまで高くないため、外での使用には周囲に注意を払おう。
ケーブル長が少々短い点と、イヤーピースが専用である点は注意が必要だ。
第5位:まるで和太鼓。音茶楽 Donguri-欅
元ソニーのエンジニアの音響技術と、木工職人団体オークヴィレッジの匠の技が見事に融合。
特許技術のトルネード・イコライザー回路採用により、カナル型の音質劣化の元凶である、6KHz付近の共振を抑え、全く新しい方法で歯擦音を除去。
自然なトーンのまま、ワイドなレンジでバランスよく音を鳴らしてくれる。
エージングによる変化やイヤーチップによる調整なども、Dongruiなら一層楽しめるだろう。
第6位:ortofon e-Q8
ortofonの人気機種e-Q7の後継機。
加工に技術要する純銀製ボイスコイル採用は、老舗ortofonだからこそ為せる業。
艶やかな中高域が特長で、三次元的な音場感を体感できる。歌ものやアコースティックサウンドでその魅力を味わうことができるだろう。
第7位:JVCケンウッド HA-FW01 CLASS-S WOODシリーズ
VGP 2017SUMMERの高級イヤホン(5万円以上8万円未満部門)で金賞を受賞した話題のイヤホン。
「木の振動板」で楽器のように美しい自然な響きを再現するWOODシリーズの中でも、ハイレゾ対応のプレミアムモデルがこちらの製品だ。
リケーブルもOKで、木が奏でる美しい響きと自然な音の広がりと繊細な音が織りなすその場の空気感までも描ききる圧倒的なリアリティが高評価。
第8位:AKG(アーカーゲー) K3003 イヤホン カナル型
ご紹介した製品の中では断トツで高価な高級イヤホン。
コンパクトサイズのボディの中に、プロオーディオの分野で培った最先端の音響技術を投入し、まるで高級大型ヘッドホンを聴いているかの様な、サイズを超えた最上級のサウンド。
接続する機器や音楽の特性に合わせ、好みの音質に微調整が可能な”メカニカル・チューニング・フィルター”では、自分の好きな音を細かく再現できる。
第9位:final Heaven VI-CC FI-HE6BCC3-A
デザインが美しく独特の音色で人気が高いfinal。
低音と奥行きのある立体的な空間再生を実現するBAM機構を採用。完全な自然さでボーカルを再生してくれる。特に中高音域の伸びやかで奥行きのある表現が得意。
一度finalにはまったら抜け出せない人多数!
第10位:beyerdynamic XELENTO REMOTE
1924年に創立され、1937年に世界初のダイナミックヘッドホンを発売した、beyerdynamic。
このイヤホンは、ダイナミック型の中でも特に解像度明瞭度ともに高く、かつ装着感が良いことで人気のイヤホン。なめらかな曲線を意識したデザインも高評価できる。
第11位:ソニー SONY XBA-N3
SONYのハイレゾ対応イヤホンとしても人気の高級イヤホン。
原音の持つ音色の美しさをありのままに再現するHDハイブリッドドライバーシステムはもちろんのこと、高い遮音性と長時間の快適な装着性を実現する新開発トリプルコンフォートイヤーピースが高い評価を受けている。
高級イヤホンの比較ポイント
高級イヤホンを選ぶに当たって役立つ選定ポイントをご紹介したい。機能性やデザイン性は個人の要件次第なので詳細は割愛するが、幾つか視点を挙げておこう。
チューニングの傾向は?
どの周波数帯域を強調しているのか、イヤホンによって全くそのチューニングは異なっており、それぞれの製品を性格付けする1つの大きな要素となっている。
主な傾向は次の通りだ。どういうったチューニングが良いか、好みや用途と相談して基準を設けておくと良いだろう。
チューニング呼称 | 意味 |
---|---|
かまぼこ型 | スペクトラムアナライザーで周波数別に音圧レベルをグラフ化した際に、低域・高域が抑えられ中域が緩やかに強調された「かまぼこ」の形状を描くためこの呼び方をされる。クラシックや歌もの、フォークなどアコースティックサウンド向き。 |
ドンシャリ型 | かまぼこの真逆で低域と高域が強調され中域は抑えられたチューニング。ダンスミュージックやハードロックサウンド向き。 |
フラット型 | 特定の帯域を目立って主張することなく、各帯域をなだらかで均一なレベルにしたチューニング。原音を忠実に再現し、その曲のマスタリング時のイコライジングを再現したり、DTMでのモニタリングしたいときに最適。どのジャンルにも向くが、音源のマスタリングが好みでないと辛い。 |
▲ チューニング傾向一覧
ドライバー駆動方式は?
ドライバーとは音を出す機構のことでイヤホンの要である。永久磁石とボイスコイルの電磁力によって振動板(ダイアフラム)を振動させ音を出力するユニットことを指す。
ドライバーには幾つか駆動方式があり、イヤホンにおいては代表的なものとして「ダイナミック型」「バランスドアーマチュア型(BA型)」「ハイブリッド型」などのタイプがある。
方式によって音のキャラクターが異なるので好みのものを選ばれたい。
駆動方式 | 意味 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
ダイナミック型 | 最も一般的な駆動方式。マイクやスピーカーでも多く採用される。 | 安価/歪みが少なく低音に強い/再生周波数帯域が広い | 小型化すると音質が劣化/繊細さに欠く |
バランス度・アーマチュア型(BA型) | 小さなピンで振動板を振動させる駆動方式。 複数ドライバーを設け、低音域の弱さを補うことが多い。 設け方は高低域用の2ウェイ、高中低域用の3ウェイなど、多い場合6ウェイといったマルチドライバーを採用する。 数に伴い定位感や音像の表現力の向上を味わうことができる。 |
小型化に強い/音の変化に敏感/中高音域の解像度が高い | 高価/再生周波数帯域が狭い/低音域が苦手/歪み特性がある |
ハイブリッド型 | ダイナミック型とBA型を組み合わせたマルチドライバー方式。 双方の長所を組み合わせ たサウンドを得られる。 |
中低域が厚い/中高域の解像度が高く繊細 | 基本的に高価 |
▲ 各駆動方式のメリット・デメリット
BA型とハイブリッド型はドライバー構造が複雑化するほど値段が高くなり、音色の多様性も増す傾向にある。高級イヤホンはBAドライバーを搭載しているものが多い。
またダイナックドライバーはその口径の大きさに比例して低音の量や表現力が増すので、近しいスペックのモデルを比較する場合は口径にも注目しよう。
ドライバーユニットの性能は?
ワイヤレスヘッドホンで使われるドライバー駆動方式はほぼ全てダイナミック型なので、ダイナミック型について押さえておきたいポイントを紹介する。
ドライバー口径は?
ダイナミック駆動方式では振動板(ダイアフラム)の大きさに比例して音質が良くなる特性がある。Φ30~53mm辺りのドライバー口径のものが多いので、それを基準に大きさに注目してみよう。
マグネットの材質は?
ヘッドホンでは磁気回路で永久磁石(フェライト、コバルト、アルニコ、ネオジウム等)を使い、その性能で音質が向上するとされている。ヘッドホンにおいては小型・軽量を求める際、小さくても強磁界をもつ磁石を搭載したものを選ぶと良いだろう。
ボイスコイル材質
通常の銅線でなくHi-OFCやPCOCCといった高純度の銅線などを採用しているものを選ぶと音質が向上するとされている。
ハウジングの構造
イヤホンの最も外側の部位を「ハウジング」と呼ぶ。ハウジングには主に密閉型と開放型の2種類があり、それぞれ特性が異なるため好みのものを選ぼう。
密閉型と開放型の違い
比較点 | 相関関係 | 密閉型 | 開放型 |
---|---|---|---|
低域レスポンス | 強 | 非常に良い | 良い |
音場 | 強 | 平均的 | 非常に良い |
音漏れ | 強 | 良い | 悪い |
ノイズ遮断性 | 強 | 良い | 悪い |
快適性 | 弱 | 良い | 非常に良い |
密閉型(クローズド)
密閉型はハウジングに穴がないものを指す。ハウジングが共鳴箱の役割を果たし低音を増幅させるため、低音の表現力は開放型より優れる。
またハウジングが閉じていることで音漏れも小さく、環境ノイズの遮音性も高いため、インドア/アウトドアの両方で使用するのに最適だ。ノイズキャンセリング機構を搭載したモデルも密閉型を採用しており、騒音環境であれ静音環境であれ、深いベースレンジを感じながら没入感を得ることが出来る。
開放型(オープンエアー)
開放型はハウジングに穴が空いており、メッシュやグリルでカバリングされている。iPhone純正イヤフォンはこれに当たる。密閉型と異なり、ドライバー(音の出る機構)から出力された音が、反射することなく空気を伝搬して忠実に耳に届くため、音の抜けが良くなり広い音場を感じることが出来る。
耳のすぐ近くというより、部屋に設置したスピーカーからの音を聴いている感覚に近い、自然で広い音場と没入感が最大の魅力だ。
その代わり、音漏れは大きく、環境ノイズも許してしまうことになるため、室内での利用が主な用途となる。周囲の人の話し声も聴き取れる。
なお蒸れにくいといった装着面での特長もあるため、夏場や長時間のリスニングにも向いている点も覚えておきたい。
一方でハウジングでの低音の増幅が出来ないため、低音再生能力は密閉型に劣る。この点は広い音場による臨場感とトレードオフとなるだろう。
半開放型(セミオープン)
密閉型と開放型の中間に位置する存在。
密閉型の音の増幅能力を有しながらも、開放型の特性を持たせた形状になっている。
セミオープンと呼ぶ明確な基準はなく、メーカーによっては単にオープン型とするところもある。
遮音性については開放型と同じく低い。
イヤホンの形状
カナル型
ゴムやシリコン製のイヤーチップによって装着する耳栓型のイヤホンのこと。現在主流のイヤホン形状である。
遮音性が高く増幅した音を取り逃がさないため、低音再生に強い。
またイヤホンがずれにくいという特長もある。
ただタッチノイズと言って、ケーブルが身体に接触した際にドン、ドンとノイズが生じる。しっかりと固定したい、タッチノイズを軽減したい場合はSHURE(シュア)掛けという耳かけ方式で装着する手段がある。ケーブルを耳の後ろに回して引っ掛ける付け方をするため外れにくい。
イヤーチップのサイズが合わず耳の疲れを感じる心配があっても、イヤーチップ交換で対処できる。イヤーチップメーカーはCOMPLYなどが有名で、様々なサイズ、対応口径があって安心だ。遮音性の高い、低反発素材のイヤーチップなどで性能を引き出すこともできる。
低反発ポリウレタン製のイヤーチップ。
サイズが合わないという課題を解決するだけでなく、完璧なフィット感でこれまで聴こえなかった音が聴こえるようになり、低音も一層響くという音質面での効果も高い、一度使うとやめられないプロダクト。
インナーイヤー型
高級イヤホンではあまりないが、イヤーチップを用いずに耳に引っ掛けて装着するタイプ。
遮音性が低いのが長所であり短所。
通勤・通学時などある程度周辺の音を聴きたい場合に最適だ。電車のアナウンスを聴き逃すこともなく、インナーイヤー型に慣れるとカナル型を装着して歩くことが怖くなる方もおり、移動中の安心安全を考慮すればインナーイヤー型。
また閉塞感・圧迫感が少なく耳が疲れにくく長時間リスニングに適している点も長所だろう。
短所としては、あまり音量を上げると音漏れしやすいため使用環境を選ぶという点。また低音再生は期待できず諦めた方がよいという点、耳のサイズが合わなければ装着が困難という点だろう。
ハイレゾ対応かどうか
ハイレゾ対応を求める場合は、一般的なハイレゾ対応イヤホンの最大再生周波数帯域である30,000~50,000Hzをカバーしたものを選ぼう。
またハイレゾロゴ(ハイレゾマーク)の有無も1つの基準となる。ハイレゾロゴには以下のような特徴がある。
- 日本オーディオ協会から認証を受けたメーカーが生産した製品に付くマーク
- 40kHz~の周波数帯域の再生性能を持つアナログ系機器のみに付く
- 厳しい音質の審査に通過したもののみに付く
ハイレゾを十分再生できる周波数帯域を持っている機種でも、デザイン等の都合上ハイレゾマークがないものもあるので、必須条件とはしなくともよいだろう。
リケーブルするか
イヤホンにはイヤホン部とケーブル部を別々にできるリケーブル対応機がある。
イヤホンとケーブル間の接続端子はMMCXという規格が主流で、同じMMCXに対応したケーブルと交換したい場合に、リケーブル対応イヤホンを選ぶことになる。
より音質にこだわりたい方は、これによって好みの素材のケーブルにグレードアップし、カスタマイズを楽しむことができる。
さらにバランス接続対応のケーブルに替えることも出来るので、対応ポタアンとの併用でさらなる高音質化も実現できるだろう。
高級イヤホンにおいては、殆どがリケーブル対応だと思うが、中には規格がマイナー・独自のものもあるので注意されたい。
最後に
可能な限り多くの方の参考になるよう様々な切り口で選び方、そしておすすめのモデルを紹介した。
本記事が高級イヤホン選びに役立ち、ずっと使い続けられる愛機を見つけられる助けになれば幸いだ。