今や必要不可欠となったモバイルバッテリー。ソニーやANKERなど様々なメーカーの製品が流通していますが、その中でもロス率に注目し、高品質でデザインやスペックの優れたモデルを徹底的に選び抜き、メーカー別にランキング形式でご紹介。さらにその選び方や比較ポイントまで解説します。
モバイルバッテリーの選定基準
早速おすすめのモバイルバッテリーを紹介していきたい。今回、自由研究社がピックアップした基準は以下。
- コピー品でない正規品
- 電力ロス率が低い高品質な製品
- メーカー対応が良い製品
電力ロスとは
実は、モバイルバッテリーの公式スペック容量と実測容量には乖離がある。その乖離を電力ロスと言い、バッテリーとスマホ等の機器の間で電圧が異なることが原因で発生する。
一般的に、30%前後の電力が充電時にロスしてしまうので、なるべくロス率が低い製品を選びたいところ。今回はそんな視点も含めて製品キュレーションをしていきたい。
おすすめモバイルバッテリーランキング|低ロス率順
第1位:Anker PowerCoreシリーズ(iPhone&Android対応)
タブレット充電もOK。超大容量なPowerCore II 20000
ロス率が低く、入出力ともに超速の超大容量モバイルバッテリー。
369gと多少重量がありサイズも大きめだが、iPhoneを約5.3回、Galaxyを4回以上、iPad Pro 9.7インチを約2回フル充電できるというパワー。万が一不良品があった場合も、メーカー対応が良いので安心。長期の旅行や、タブレットPCを充電することが多い人に適しているだろう。
スマホの充電だけなら、Anker PowerCoreI I 10000
前述機種の半分のバッテリーで、195gと軽量かつコンパクトに設計されたモデルがこちら。ほぼ全てのスマホを2~3回満充電できるほどのパワーなので、普段遣いには最適だろう。
バッテリー残量を示すインジケーターは、デザインを邪魔しないLED Wheelタイプ。8段階で残量を表示すしてくれる。
ランキング第2位:PHILIPS モバイルバッテリー(iPhone&Android対応)
本体の薄さと保証内容がGOOD
転換率85%の低ロス率を誇るモバイルバッテリー。10,000mAhという容量を有しながら、極薄で高級感あるボディを実現しているのも高評価。筐体はPC+ABSの耐衝撃・耐熱性がある難燃素材でできており、高性能な温度測定機能も有しているので、万が一の際にも安心。
また、フィリップスならではの30日以内返品、1年以内なら新品と交換してくれるという保証内容も評価できる。
ランキング第3位:cheero Power Plusシリーズ(iPhone&Android対応)
断トツの口コミ数と評価、Power Plus 3
昇圧給電なので40%程度のロス率だが、安定の品質と絶妙な容量で人気の本機。1A出力と2.4A出力の2ポートをもつコンパクトで大容量のモバイルバッテリー。入力も2Aと高電流なので自身の充電も早い。シンプルなデザインなのも魅力的。
他社のモバイルバッテリーと比較して、厚みはあるがコンパクトなので、とにかく小さいものを…という人や、10000mAhは少ないけど20000mAhはちょっと多い…という人にもおすすめ。
おすすめモバイルバッテリー|目的/機能別
コンセント付きモバイルバッテリー
- 今回は、コンセント付きモバイルバッテリーの特集です。変換アダプターを使わず、コンセントの差し込みに直接接続して充電できる便利なアイテムです。モバイルバッテリーの購入や買い替えを検討されている方は、ぜひ参考にしてみてくださ...
ANKER PowerCore Fusion 5000 A1621011
コンセント付きタイプの中で今最も売れている商品がこちら。急速充電対応でスピーディーな充電が可能。持ち物も減ることから買い替え需要も多い。
小型軽量のモバイルバッテリー
- 今回は、大容量×小型バッテリーについてご紹介していきます。容量別に最強といえる機種をまとめてみたので、モバイルバッテリーの購入で迷っている方は、ぜひこちらの記事を参考にしてみてください。 目次1 まずはモバイルバッテリー...
ANKER PowerCore+ mini AK-A1104011
小型のスティックタイプで80gと超軽量のモバイルバッテリー。急速充電にも対応しており、バッテリー残量確認も可能。
大容量のモバイルバッテリー
- 今や、モバイルバッテリーを持ち運ぶことは全く珍しくない世の中。スマートフォンやノートパソコン、タブレットなどを外出先でもすぐに充電できるように、モバイルバッテリーを持ち運んでいる方も少なくありません。せっかくモバイルバッ...
Anker 超大容量モバイルバッテリー AK-A1260011
20000mAhの超大容量で、iPhone XSを約5.3回、Galaxy S9を4回以上、iPad Pro 9.7インチを約2回フル充電できる。Quick Charge対応充電器を使えば、わずか5時間ほどで本体充電が完了する優れもの。
かわいい&おしゃれなモバイルバッテリー
ダンボーは正義。DANBOARD Version Plate
チーロと言えばこれを紹介しない訳にはいかない。Plateは、Power Plusシリーズの「ダンボー」モデルの薄型版だ。
ダンボーが分からない方は「よつばと!」という漫画を必ず読まなければならない。
機内持ち込み可能なモバイルバッテリー
- 外出先でもスマートフォンやパソコンなどのバッテリーを充電できるモバイルバッテリー。特に、旅行先などで重宝されるアイテムですね。そんなモバイルバッテリーですが、飛行機に乗るときには手荷物としてのみの所持しか許されていません...
大体の航空会社が100Wh未満が持ち込み可、100Wh(約27,027Ah)〜160Wh(約43,243mAh)が持ち込み可(最大2個まで)となっている。
Anker PowerCore Fusion 5000
国内だけでなく海外旅行でも活躍するモバイルバッテリーがこちら。大容量モバイルバッテリーと2ポートUSB急速充電器が一体となっている、コスパ抜群の製品。100V-240VのAC入力ができるので、海外旅行にもおすすすめ。18.5Whと、もちろん機内持ち込みOK。
大手ブランドのモバイルバッテリー
デザインや機能はさておき、いざという時に安心安全なのは国内の大手ブランド製。インパクトはなくとも、使用可能回数が多いなどの特長があり、長く安心して使い続けたい方にはおすすめだ。
電池派、エネループ派の人へ。Panasonic BQ-CC57
急速充電器だが、もちろんモバイルバッテリーとして使用できる本機。乾電池を入れて使用できるため、家中でエネループを使用している人は、むしろ本製品の方が相性が良いだろう。
モバイルバッテリー自体を買い換えなくても、エネループを買い換えるだけで半永久的に使用できるのでおすすめ。
SONY CP-V10BAB
PSE適合品かつ、発熱抑制・充電抑制・ゲルポリマー対応の「Safe Charge搭載」製品。何気にハイデザインなので、SONYの安定感とかっこよさで選んでも十分満足行くだろう。
モバイルバッテリーケースという選択肢も
- iPhoneは内蔵電池容量が小さくすぐに電池切れになりがち。そこでバッテリー付きケースがあると便利です。ケースとしてiPhoneと一体となるバッテリーだと持ち物も増えません。スリムなものや大容量のものまでおすすめモデルを...
mophie
バッテリーケースと言えばmophieが有名。特許も豊富に取得している。Qi規格のワイヤレス充電にも対応した、薄型軽量なバッテリーケース。内蔵磁石を利用しiPhone用車載ホルダーへのマウントなども可能。ボタンによって充電したいときだけ充電できる利便性の高いケースだ。
補足|災害時にはソーラ充電器や手回し式充電器があると便利
- 普段からスマートフォンを充電するために、重宝されるモバイルバッテリー。モバイルバッテリーの中でも、災害時やアウトドアシーンで役立つソーラーモバイルバッテリーを検討している方も少なくないのではないでしょうか。ただ、多数の種...
- 災害時やアウトドアで、スマホなど携帯電話を充電したいときは手回し充電器がおすすめです。近年の防災意識の高まりから手回し充電器も種類が充実し、USBなどで手軽に給電できるモデルが増えました。その中でもおすすめのモデルをご紹...
- アウトドア用途や防災目的でソーラー充電器が人気を集めています。最近のモデルはスマホだけでなくタブレット、PCまで充電でき、コンセント以上のパフォーマンスを発揮するものもあります。そんな中でも特におすすめしたいソーラー充電...
ANKER(アンカー) PowerPortSolar
ポータブルソーラーパネルの中でも国内外で最も人気のモデルの1つが、ANKERのPowerPortシリーズだ。USBがデュアルポートであることがまず便利で、ものすごく軽い。出力も高く急速な充電が可能だ。
SONY ICF-B03
災害時、モバイルバッテリーを充電させるのに便利なのがこちら。付属の変換コネクタはMicroUSBなので、iPhoneに接続する場合には変換コネクタがいるが、モバイルバッテリー経由であればそれが可能。
モバイルバッテリーの選び方
容量で選ぶ
バッテリー容量による、重量、スマホ/タブレットの充電目安回数を表にまとめた。
容量 | 重量目安 | スマホ充電 | タブレット充電 |
---|---|---|---|
5000mAh | 140g前後 | 1~2回 | ー |
10000mAh | 200g前後 | 3~4回 | 1回 |
20000mAh | 550g前後 | 5~8回 | 2回 |
バッテリー容量は mAh(ミリアンペアアワー)という単位でその容量が記される。一般的なクラス10,0000mAh辺り、大容量だと20000mAhが主流だ。必要な容量は、手持ちのデバイスを何回充電できたら理想なのかを考えて選ぼう。
スマホの充電回数の計算式
スマホの充電回数は次の計算式でおおよその値が求められる。
充電回数=(モバイルバッテリー容量[mAh])÷(スマホバッテリー容量[mAh])×0.7
実際のモバイルバッテリーの充電能力は変換ロスによって6〜7割程度に落ちるため0.7を掛けている。例えばiPhone7はバッテリー容量が1,960mAhなので、5,000mAhのバッテリーでは1.8回程度の充電が可能ということになる。
参考|主なiPhoneのバッテリー
- iPhone 6:1810mAh
- iPhone 6s:1715mAh
- iPhone 6 Plus:2915mAh
- iPhone 7:1960mAh
- iPhone 7 Plus:2900mAh
- iPhone 8:1821mAh
- iPhone X:2716mAh
サイズ・重さで選ぶ
最近のモバイルバッテリーは軽量化と小型・薄型化が進んだ。ポケットやカバンに入れておくなら薄型がおすすめだ。普段持ち運ぶものなので、出来る限りコンパクトで邪魔にならず、負担にならないように軽いものを選ぼう。
感覚としては10000mAh程度なら持ち歩きはしやすく、それ以上になると多少荷物に感じる。
最大出力で選ぶ
モバイルバッテリーを使ったときの充電速度はA(アンペア)値の大きさで決まる。同等スペックのバッテリーを比較するなら最大アンペア値が大きいものの方が有利だ。
急速充電って何?
そんな中でも特に充電速度が早いものは「急速充電」対応として宣伝される。まず、USB規格では、USB2.0が500mA、USB3.0は900mAを保証するよう規定されている。一般のスマホと充電器はそれより少し大きい600〜800mA程度の電流で受給電を行っている。
急速充電を謳う製品はこれを大幅に引き上げ1.5や2.0A以上の電流で充電時間を短縮している。あるいは米Quallcommの定めるQuickCharge3.0規格(あるいは2.0)に対応するチップを利用し、電流ではなく電圧を大幅に引き上げて充電時間の短縮を実現している。
高ければ高い方が良い?
否、実は急速充電対応の製品がベストとは限らない。急速充電を行うには受給側であるスマホやタブレットもそれに対応していなければならない。
例えば「iPhone 6s」の充電ポートは「1.4A/5V」までしか対応していないとの情報がある。いくらバッテリー側が急速充電2Aと謳っていても、それは飽くまで最大値の話であり、実際は1.4Aまでしか出力されない。
手持ちのデバイスのスペックと、急速充電対応機種を今後使うかどうかによって判断しよう。※スペック非公開のデバイスもある。
具体的にどのくらいの充電時間なのか
バッテリー容量値 X mAh(ミリアンペアアワー)をAで割ると時間が算出できる。
具体例を挙げると、iPhone7は1,960mAhのバッテリー容量だ。そこで1.0A出力をもつ電源から給電したとする。1.0A=1,000mAなので、
1960mAh ÷ 1000mA = 1.96h ≒ 2h
つまり単純計算では約2時間でiPhone7は充電完了する計算になる。
これはモバイルバッテリー本体を充電するときにも同じ計算ができる。高出力のモバイルバッテリーが、実は自身の入力電流値は小さいという場合、自身の充電にはとても時間を要することになるので、入力電流も確認しておこう。
使用回数
リチウムイオンバッテリーは消耗品だ。何度も充電して繰り返し利用できる訳ではない。繰り返し充電に伴い劣化が進み、徐々に容量が減り、一般には500回程度の繰り返し充電が許容回数とされる。
多いものでは1,000や2,000以上のものもあるので、出来る限り長持ちするものを選ぶと費用対効果が高く得られるだろう。高温、満充電、高頻度の充電を避けるなど寿命を延ばす方法もあるが、やはりバッテリーそのものの性能が大きいので、使用回数は重要なポイントとなる。
安価で大容量の製品などは、急激に劣化するものもあるので、注意しておこう。
機能性
パススルー充電とは?
パススルー充電は、モバイルバッテリー本体の充電をしながらスマホ等の機器の充電ができる方式。コンセントが一つでもどちらにも給電できるので、宿泊先のホテルなどで重宝するかもしれない。
充電ポートは?
充電ポートが複数あるモデルもある。
同時充電を行いたいなら2つ以上ポートを備えたモデルを選ぼう。なお、複数ポートでもそれぞれ低出力、高出力を分けてあるモデルもある。タブレットなどを充電するならそうした高出力ポートも備えたものを選ぶと良いだろう。
残量表示機能があるか
実際に使ってみると残量表示機能の重要性に気がつくはずだ。残量がなければモバイルバッテリーを当てにしてよいのか判断がつかない。LEDで目安を表示するものよりも、液晶パネルで数値として具体的に示してくれるものがおすすめだ。
その他の機能はどうか
ソーラーパネルはあった方がいい?
まず「必要ない」が答えだ。そんなものは気休めに過ぎない。その分のコストを容量に充てよう。
ソーラー充電の能力はパネル面積への依存が大きい。モバイルバッテリーの片面程度の小さな面積で充電するのはとても現実的ではない。ソーラーを必要とするのはアウトドアや災害時だが、そのニーズを満たすには別途パネル型のソーラー充電器を用意すべきだ。
例えばSUNFERNO※という人気のソーラーパネル付きモバイルバッテリーは、outdoorgearlab.comが0.3A出力という実測値を出してしまった。これはiPad Airを満充電するのに約30時間かかる計算になる。
なお日本の1日の平均日照時間は概ね5時間半である。これ以上の説明は必要ないだろう。
※カラビナで吊り下げて放置できるなど、使いやすさを追究したとても良いプロダクトであることは確かだ。
防塵防水仕様の方がよい?
必須ではないが、アウトドアや災害時の利用まで考慮するのであれば、あった方が良いだろう。メーカー判断で対応を謳っているだけでなく、正式に国際標準の防塵防水基準を満たしていることを確認しよう。
対応レベルは「IP」コードから判断できる。IPに続く1つ目の数字が防塵性能、2つ目の性能が防水性能、「X」は検査省略記号だ。具体的に、IP56や、IPX4という表記がなされる。
保護等級 | 防塵性能 |
---|---|
IP0X | 特に保護がされていない |
IP1X | 直径50mm以上の固形物が中に入らない(握りこぶし程度を想定) |
IP2X | 直径12.5mm以上の固形物が中に入らない(指程度を想定) |
IP3X | 直径2.5mm以上のワイヤーや固形物が中に入らない |
IP4X | 直径1mm以上のワイヤーや固形物が中に入らない |
IP5X | 有害な影響が発生するほどの粉塵が中に入らない(防塵形) |
IP6X | 粉塵が中に入らない(耐塵形) |
保護等級 | 防水性能 |
---|---|
IPX0 | 特に保護がされていない |
IPX1 | 鉛直から落ちてくる水滴による有害な影響がない(防滴I形) |
IPX2 | 鉛直から15度の範囲で落ちてくる水滴による有害な影響がない(防滴II形) |
IPX3 | 鉛直から60度の範囲で落ちてくる水滴による有害な影響がない(防雨形) |
IPX4 | あらゆる方向からの飛まつによる有害な影響がない(防まつ形) |
IPX5 | あらゆる方向からの噴流水による有害な影響がない(防噴流形) |
IPX6 | あらゆる方向からの強い噴流水による有害な影響がない(耐水形) |
IPX7 | 一時的に一定水圧の条件に水没しても内部に浸水することがない(防浸形) |
IPX8 | 継続的に水没しても内部に浸水することがない(水中形) |
▲ 出典:Wikipedia
ワイヤレス充電対応
最近ではモバイルバッテリーでもQi(チー)規格に対応し、ワイヤレスで給電できるものも増えてきた。手持ちのデバイスがワイヤレス充電に対応しているなら、Qi対応モデルを探すのも良いだろう。
デザイン性はどうか
最低限のスペックを満たした際に決め手となるのはデザインだろう。
一昔前までは無骨でチープなデザインのものが多かったが、現在はスタイリッシュなものからポップなものまで豊富にある。自身の持ち物にマッチするかどうかなどを中心に考えてみるのもよいだろう。
最後に
今日スマホやタブレットだけでなく、Bluetooth機器などの周辺デバイスや、ポータブルWi-Fiデバイス、電子タバコなど、充電を必要とする機器が溢れている。モバイルバッテリーはそうした機器の電池切れで困る心配を減らし、アウトドアや災害時でも貴重な電源として活躍してくれる。
持っていない方、あるいは古いモデルを持っている方、これを機会により実用的な最新モデルを手に入れてみてはいかがだろうか。