ネットワークオーディオプレーヤーは近年対応機器が増え、DENONやマランツなど有名ブランドからも多く新製品が登場し以前より身近なものとなりました。今回はその中でもおすすめのモデルを厳選してご紹介し、基本知識から選び方まで解説します。
ネットワークオーディオプレーヤーとは
ネットワークオーディオプレーヤーは、自身と同じLANに接続したNASやPCに保存された音源データをストリーミング再生できる機器のことだ。
デジタルデータを再生するのでDAC(デジタル・アナログ変換回路)も兼ねていると言える。
PCは必ずしも必要でない。
また同じLANに接続していれば、あらゆる対応デバイスから音源ライブラリの管理・選曲が可能なのでストレスがない。
ネットワークオーディオは音楽スタイルの自由度を格段に上げてくれるシステムだ。
おすすめのネットワークオーディオプレーヤー
YAMAHA R-N303
2017年8月末発売の最新NAP。話題のSpotifyやradiko.jpなどストリーミングサービスに対応している。
DSD 5.6MHzダイレクト再生、AIFF/WAV/FLAC 192kHz/24bit、Apple Lossless 96kHz/24bitと幅広い高音質音源に対応しており、最新ユーザーニーズにしっかりと応えている。
低ジッタ・低ノイズを達成した独自ネットワークモジュールを搭載し、よりデリケートな再生を実現可能にしている。こうした改良ができるのは通信機器開発も行っている同社の強みだろう。
入力系統も十分な数を備えており、機能性や使い勝手の良さが光るハイコスパなプロダクトだ。
DENON(デノン) DNP-730RE
DENONのDNP-720SEの後継機。
ワイヤレス接続にも対応しておりコードレスを実現できる。ハイレゾもWi-Fiの帯域幅があれば問題なく再生可能だ。Airplayにも対応しているのでiPhoneから簡単に出力先として選択できる。2.4GHzしか利用できないのは少々デメリット、干渉には要注意だ。
いよいよ日本でも利用できるようになったSpotifyのSoitify Connectにも対応予定で高音質ストリーミング再生をシンプルなオーディオシステムで実現できるようになる。
DSD(2.8MHz/5.6 MHz)、AIFF(192kHz/24 bit)のファイル再生に対応し、AIFF、WAV、FLACは最大192kHz/24bit、Apple Losslessは最大96kHz/24bitまでのファイル再生に対応。
ディスプレイは、3行表示で日本語対応の有機ELディスプレイを採用し可視性も高い。
DENON DRA-100SP
DENONのネットワークオーディオプレーヤー兼プリメインアンプ機だ。デザインもスタイリッシュで魅力的。Wi-Fiまで対応しているので、環境をミニマムにかつお洒落に構築できる。
DSDは5.6MHz、PCM系は192kHz/24bitのハイレゾ音源再生に対応しており、対応ファイルフォーマットも多様。
SpotifyConnectも対応し、ストリーミングやネットラジオを聴くのに最適だ。
AirplayやBluetoothといった接続にも対応し、モバイルデバイスからの音源送信も容易い。
フルサイズコンポーネントを複数台設置したくない、かつ音にこだわりたいミニマリストの方におすすめ。
marantz NA6005
marantzのネットワークオーディオレシーバーのエントリーモデル。
DSD(2.8MHz/5.6MHz)、FLAC/WAV/AIFF(192kHz/24 bit)、ALAC(96kHz/24 bit)などのハイレゾ音源、さらにMP3、WMA、AACファイルなどに対応。
ネットワーク再生だけでなくBluetooth接続や光デジタル入力で外部音声も再生可能だ。
USBメモリ再生、FM/AMチューナー、SpotifyConnectにも対応し、一切の隙がない。
Airplayにも対応しているので手軽にAppleデバイスと連携も可能だ。
嬉しいのはスマホにリモコンアプリがある点だ。本体の操作やコンテンツのブラウジングができる。
ネットワークオーディオプレーヤーに欲しい機能が全て詰まった本機は、これからネットワークオーディオシステム構築を考えているエントリーユーザーにとって後悔のない選択となるだろう。
Pioneer (パイオニア)N-70A
Pioneerのハイクラスネットワークオーディオプレーヤー。
USB-DACを搭載しヘッドホンアンプまで内蔵しているので、iPhoneの楽曲などをハイエンドなヘッドホンで聴くことも可能だ。
ハイレゾ再生も余裕でこなし、驚くことにアップサンプリングも可能だ。
拡張性の高いバランス接続にも対応している。液晶パネルも情報量が多く高精細で美しい。ネットワークオーディオプレーヤーの完成形がここにある。液晶パネルも情報量が多く高精細で美しい。
SONY(ソニー) HAP-Z1ES
SONYのネットワークオーディオプレーヤーのハイエンドモデル。
シンプルでデザインでVGPでも金賞受賞。業界で最高峰の品質を有している。1TBの大容量HDDを内蔵しており増設も可能。高精度のフルカラー液晶も見やすくて快適だ。
オーバーサンプリングにも対応しており、CD音源でもきめ細やかに再生してくれる。本格的な環境を整えたいに方は本機がおすすめだ。
ONKYO NS-6130
FLAC/WAV/AIFF/Apple losslessオーディオなどに対応し多彩なハイレゾ音源を再生可能。(PCM最大192kHz/24bit、DSD 11.2MHz)
またGoogle CastTMやradiko.jpに対応し、ラジオも高音質に視聴可能。
スマホアプリもあるので操作も簡単だ。
本格的にNAPを導入したい方にとって基準機となる1台だろう。
ONKYO TX-8150
WAVやFLAC(192kHz/24bit)やDSD2.8/5.6MHz音源ネイティブ再生に対応。
Wi-Fi、Bluetooth接続に対応しており、気軽にPCやスマホからストリーミング音源を再生できる。FM/AMラジオ、radio.jpなどネットラジオにも対応。
NASの音源をPLEXで再生したり、Spotifyを流したり、アナログレコードプレーヤーをつなげたり、様々な楽しみ方ができるフルファンクションなプレーヤーだ。
TEAC NT-503
DSD 11.2MHz、PCM384kHz/32bitの再生に対応したハイスペックなNAP。人気のDAC「UD-503」を受け継いでいる。
44.1kHz系と48kHz系の2種類の専用クロックを搭載し、10MHz対応の外部クロック入力も搭載したスケーラビリティにも富んだモンスターマシンだ。
カラーはブラックもある。両色とも無骨なデザインも魅力的。
marantz M-CR611
M-CR610をブラッシュアップした後継機種。
充実のワイヤレス機能を追加したほか、DLNAによる192kHz/24bit、2.8MHz DSDのハイレゾ音源再生に対応している。
CDプレーヤーやワイドFM/AMチューナーも搭載し、さらにSpotifyConnectにも対応している文字通り「オールインワンプレーヤー」。
60W+60W(6Ω)フルバランス・デジタルパワーアンプを搭載し、4chスピーカー出力によるバイアンプ接続に対応しているため、各スピーカーユニットで原音に忠実なHi-Fiサウンドを楽しむことができる、音質面も拘り抜かれた製品だ。
Panasonic SC-PMX100
充実のネットワーク機能を搭載したコンポ。
USB-DACとしても機能するので、PCやUSBメモリーのハイレゾ音源(192kHz/24bit)の再生も可能。
スピーカーには、100kHzまでの再生に対応したスーパーソニックツイーターを採用し、繊細できめ細やかなハイレゾサウンドを再現する。
高級スピーカーとも接続できるのでスケーラビリティもある。全部入りを求めるなら本機はおすすめ。
ネットワークオーディオプレーヤーの基本知識
DLNAについて知っておこう
DLNA(Digital Living Network Alliance)は、ネットワークオーディオの規格統一を図る組織名称であり、同時にガイドライン名称でもある。
DLNAという組織が行っているのは、ガイドラインの策定と認定。
ネットワークオーディオは様々な種類の技術を必要とするため、メーカーが各々の構想を基に開発を進めると、それらが全く相互接続性がないものになってしまう。
これを防ぐために、どのコーデックに対応スべきか、どのプロトコルを使うべきかなどガイドラインを設け、ガイドラインを通過した企業・機器に対してDLNAロゴによる認証を行っている。
そのため我々は、DLNAの表記があれば、同じ規格、同じ方針で開発されたものなので相互接続性があると受け止めればよいのだ。
ここではDLNAのガイドライン詳細に全ては触れないが、DLNAが考えるクラスという概念については説明が必要だ。
プレーヤーやコントローラーという各ネットワークオーディオの要素をクラス分けして、明確にその役割を分けているのだ。ひとつひとつ簡単に説明していこう。
DMS(Digital Media Server)
音声や映像コンテンツを保管しておく役割。
ウォーターサーバーが貯めた水を供給するように、DMSはコンテンツを保管し供給する。
NASやパソコンがこれに該当する。
DMP(Digital Media Player)
DMSからコンテンツを引っ張り出して再生する役割。
勘違いされやすいが、コンテンツを受動的に受けるのでなく、読み取りにいく参照能力をもっている。
PS3、PS4などもDMPとして動く。メディアプレーヤーメニューでDMSの音楽を参照し再生できる。
DMR(Digital Media Renderer)
DMSかDMSから送られてきたコンテンツを受信して、再生する役割。
自らコンテンツを参照しにいく能力はない。
受信機能だけでよいので、スピーカー単体でも動作させることが容易だ。実際、DAC内蔵のWi-FiスピーカーはDMRとして動作するものが多い。
DMC(Digital Media Controller)
DMSのコンテンツをコントロールし、DMRで再生されるように送信する役割。
スマホやパソコンで音楽ライブラリの形で提供されることが多い。
ネットワークオーディオシステムの構築
最も簡単な構成はDMSとDMPの2種構成だ。
しかしコンテンツの参照のしやすさはDMPのソフト次第だ。プレイステーションのメディアプレーヤーの様にビジュアルが良ければよいが、ラック型プレーヤーだとすれば、リモコンと小さな液晶画面でDMSの中身を参照するのは非現実的だ。
そこでネットワークオーディオの真価が発揮されるのは、DMS、DMR、DMCの構成だ。
NASに保存したコンテンツを、パソコンやスマホにインストールしたDMCアプリからライブラリとして管理し、DMRを使って再生できるようになる。
DMCアプリでは、どのDMSからどのDMRで再生するか全て選択できる。
なお混乱を招くかもしれないが、クラスはあくまで論理レイヤーの話なので、物理レイヤーでは各クラスごとに機器を分ける必要はない。パソコン1台をDMS、DMCとして動作させられるアプリケーションもある。
ネットワークオーディオプレーヤーの選び方
対応ファイルフォーマットは?
FLAC、DSD、WAV、ALACや、またはAIFF、AAC、WMA、MP3、MP4など非可逆圧縮系など、どのファイル形式をサポートしているかしっかり確認しよう。
ハイレゾは音源がFLAC提供が多いので、FLAC再生対応だと安心だろう。
再生能力は?
プレーヤーはDACも兼ねているので、DAC性能も確認しよう。
FLACなどPCM系で、サンプリングレートと量子化ビットはいくらなのか、DSDであればサンプリングレートはいくらなのか、手持ちの音源のクオリティと照合して確認しよう。
接続方式は?
LANとの接続を有線で行うものが多いが、無線にも対応しているものもあるので検討してみよう。
またアンプとの接続にどの端子形状を用意してあるのかもしっかり確認されたい。(アンプ内蔵ならスピーカーとの接続端子を確認)
なおネットワークオーディオは必ずしもプレーヤー、アンプ、スピーカーをそれぞれ用意する必要もなく、DMRとして動作するアクティブスピーカーだけで済ませるという選択もある。
DLNA認証を確認する
大手ブランドではあまり関係ないかもしれないが、購入機器が無名ブランドである場合など、不安な場合はDLNAの認証情報を確認してみよう。
機能性は?
ネットワークオーディオプレーヤーのなかにはCDプレーヤー機構も備えたものもある。
再生対応メディアが増えてもあまり値段が変わらないことが多いので、必要ならば搭載機器を選ぶとよいだろう。
また、液晶パネルの視認性も重要だ。
もしもDMPとして利用して選曲をプレーヤー側で行うことがあれば、大きな液晶でなければならない。
その必要がなかったとしても、例えば日本語表示に対応しているかどうかなど、細かいながらも重要なポイントとなる。
最後に
パソコンオーディオ環境を整えるより、ある程度ネットワーク知識やDLNA関連の知識が必要となり導入のハードルが高いネットワークオーディオプレーヤー。
しかし、少し学べばあまり難しくなく、NASなどなくともPCがあれば最低限の動作は可能なので最小構成で試してみて、慣れてきたら、拡張していく方針でもよいだろう。
対応機器もどんどん増えており、これからのオーディオシステムのスタンダードになるかもしれないネットワークオーディオプレーヤー。
これを機会に自宅に導入し、自由で快適な音楽生活を手に入れよう。