おすすめのワイヤレスヘッドホンと、その選び方を徹底解説。ビーツやソニーなど有名ブランドから多くの製品が販売されており、音質重視のものからテレビ向けサラウンド対応のものまでその種類は様々。その中からおすすめモデルを厳選したので参考にしてみてください。
目次
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ワイヤレスヘッドホンとは?
ワイヤレスヘッドホンとは、BluetoothやWi-Fiなど無線通信を利用して音声データを送受信する、ケーブル接続を必要としないヘッドホンのこと。
多くはバッテリーを内蔵しており外部電源も必要としない。電池切れに備えてケーブル接続にも対応した有線/無線ハイブリッドのタイプも多い。
ワイヤレスヘッドホンのメリット
ワイヤレスによる一番のメリットはケーブルからの解放だが、具体的に次のようなメリットが挙げられるだろう。
- 電車などでケーブルが絡んだり抜け落ちない
- 複数の機器と接続可能
- カバンにプレーヤーをしまったままでよい
- タブレットなど大型デバイスでもプレーヤーとして使いやすい
- イヤホン端子の廃止されたiPhone7でも使える
- オーディオ機器の前からリスニングを中断せず自由に移動できる
おすすめのワイヤレスヘッドホン
Bluetooth対応ワイヤレスヘッドホン
Master&Dynamic MW60
あのMaster&Dynamicのワイヤレスヘッドホンだ。それだけで他に説明は不要かもしれない。ニューヨーク発の同ブランドの特徴がよく表れた洗練されたデザインの本機。
Bluetooth4.1採用による省電力設計で長時間再生に対応、さらにapt-Xコーデックに対応し高音質仕様となっている。
さらにマイクも内蔵しておりハンズフリー通話が可能だ。
プレミアムレザーとメタルボディというM&Dのセンスと、リッチなサウンドに包まれながらワイヤレスのリスニング環境が手に入る。
本機は最もおすすめしたいワイヤレスヘッドホンの1つだ。
SENNHEISER URBANITE XL WIRELESS
名門SENNHEISERでも手の届きやすい、ワイヤード・ワイヤレスのハイブリッドモデル。
伝送はBluetoothだが、解像度が高く、音のつぶ立ちが非常に良い。スピード感のある楽曲でも心地よくビートを捉えてくれる。実際に聴くとこれほど細かな音の山を取り逃がさないヘッドホンは珍しいと感じた。
スタイリッシュなデザインでケーブル着脱式のハイブリットという利便性を兼ね揃えており、誰にでもおすすめできるモデルだ。
BOSE QuietComfort35
本機はなんと20時間もの連続再生に対応している。
さらに有線接続をすれば40時間ものノイズキャンセリング状態を保ってくれる。長時間のフライトなどで最高の静音空間を創り出してくれる。移動の多い方にはおすすめだ。
SONY MDR-1000X
ハイレゾ相当音質のコーデック「LDAC」に対応したBluetoothヘッドホン。
スタイリッシュなデザインが魅力的だが、実はボディはタッチセンサーを搭載しておりコントロールパネルとして動作する、機能性に溢れたモデルだ。
20時間の再生能力をもつ点も素晴らしい。
同じLDACに対応したウォークマンなどを持っている方には本機がおすすめだ。その外AAC/apt-Xにも対応しているので様々なDAPと親和性が高い。
ONKYO H500BT
ONKYOのオンイヤー型のBluetoothヘッドホンだ。
美しいデザインで装着感も良く、有線接続時はハイレゾ音源再生にも対応する実力をもっている。apt-X/AAC対応なのでBluetooth音質も良好。
ONKYOらしい粒立ちのよいサウンドとオンイヤーならではのつけ心地は一度体感してみてほしい。
Harman/Kardon SOHO Wireless
名門Harman/Kardonのサウンドをワイヤレスで楽しめるヘッドホン。
小柄で軽量なボディだが、予想以上に良く鳴る。中高域が美しく伸びるのが印象的だ。
操作はボディ内蔵のタッチセンサーで行えるようになっており、デザインのシンプリファイも実現している点は流石Harman/Kardonだ。
AKG Y50BT
Φ40mmダイナミックドライバーを採用し広いダイナミックレンジを特長としているヘッドホンだ。
DJモニタースタイル仕様で折りたたんでコンパクトに持ち運べる上に、20時間という長時間再生対応なので通勤や通学にも便利。
この価格帯では優れた音質でコストパフォーマンスの高いプロダクトだ。
Bang&Olfusen BeoPlay H8
名門Bang&OlfusenのBluetoothヘッドホン。
ノイズキャンセリング対応で、14時間の連続再生が可能なので長距離移動に最適。
アルミのイヤーカップに内蔵されたタッチセンサーがコントロールパネルとなっており、実用性と芸術性を兼ね揃えた同ブランドらしい優れたデザイン性が光る。
URBANEARS PLATTAN ADV Wireless
スウェーデン生まれのブランドURBANEARSのPLATTANシリーズから、ワイヤレスモデルを紹介しよう。
ヘッドバンドは洗濯が可能という個性派のモデルだ。
1つのモノを清潔に長く使いたい方に、ミニマリズムを追究したシンプルなデザインの本機をおすすめしたい。
Pioneer SE-MJ561BT
アルミボディが美しいデザイン性に優れたヘッドホン。
国産ブランドであること、そして安価で美麗なデザインを求めるなら本機はおすすめだ。
Bluetooth音質はAACに対応しており良好と言えるが、ヘッドホンの再生能力は高くないのでデザインを優先する方向けだ。
※本機だけでなく全ブランドにおいて、1万円以下の低価格帯Bluetoothヘッドホンで高音質なものは、まず存在しないと考えていただきたい。
独自無線ワイヤレスヘッドホン
SENNHEISER RS175
非圧縮伝送によるピュアオーディオワイヤレスヘッドホン。
2.4GHz帯を利用した伝送でBluetoothとは異なり非圧縮で、ワイヤレスながらも高音質なゼンハイザーサウンドを楽しむことが出来る。
サラウンドという説明を見かけるがサラウンドフォーマットのデコード対応表記は特にないので注意されたい。音質を求める方におすすめ。
サラウンド対応ワイヤレスヘッドホン
Parrot Zik3
フランスのデザイナーによる美しいスタイルが魅力的なヘッドホン。カラーバリエーションも豊富だ。
シンプルさ極めたフォルムはワイヤレス充電機能まで備えている。
ノイズキャンセリングを搭載し美しい5.1chサラウンドサウンドに没入できることだろう。
Bluetooth接続可能なので接続可能なデバイスが豊富な点もうれしい。
Panasonic RP-WF7
パナソニックのリーズナブルながらも本格的なサラウンドサウンドを体感できるRP-WF7。
最大7.1chのサラウンド再生に対応し、様々なサラウンドフォーマットに対応しつつもこの価格帯でのリリースを実現している点は流石Panasonicと言える。
厚手のクッションと軽量設計でメガネや3Dメガネをかけていても苦にならず、さらにノイズキャンセリング機能を搭載しているので、ストレスのなく3D音響に浸ることができる。
はじめてサラウンドヘッドホンを導入する方におすすめだ。
audio-technica ATH-DWL5500
audio-technicaの7.1chまで対応したサラウンドヘッドホン。
オーテクの得意とするフラットでナチュラルなサウンドを、サラウンドヘッドホンでは珍しい開放型のハウジングで再生することで、広い音場で臨場感溢れる立体音響を体感できる。
なお同ブランドの特徴と開放型である点から、重低音はあまり期待できない。
開放型が好みの方は、本機を試してみよう。
ワイヤレスヘッドホンの選び方
接続方式で選ぶ
Bluetooth方式
最も主流な方式となっているのがBluetooth接続方式だ。
Bluetoothはヘッドホンだけでなくスピーカーやキーボード、マウスなど様々な機器の接続を実現する規格であるため、対応デバイスが非常に多い。
現在のほとんどのスマホ/ノートPC、さらにポータブルオーディオプレーヤーが対応しており、簡単にワイヤレスのリスニング環境をつくることができる。
これらのメリットを享受したい場合はBluetooth接続対応のモデルを選ぼう。
無線ユニット方式
外部プロセッサーを必要とするサラウンドヘッドホンに多く見られるが、メーカー独自の無線送受信機を設置して通信を行う方式だ。
無線送受信機と再生機の間は有線となることが殆どなので、接続端子は確認しておこう。またこの方式は当然宅外では使用できないので、宅内利用が主となる方向けだ。
大抵の場合Bluetoothよりも伝送量が多く、より大きいサイズの音声データを送信できる。このためワイヤレスでありながらハイレゾのピュアオーディオ再生が可能といったことも可能としている
宅内利用で高音質を優先したい方は無線ユニット方式を選択肢に含めるとよいだろう。
Wi-Fi方式
まだ殆ど製品が登場していないが、Wi-Fiを接続方式として採用するヘッドホンもある。
メリットは上述の無線ユニット方式と同じだが、Wi-Fiネットワークを使うため、宅内の無線LANルーターと接続されている機器同士であれば、特別に専用ユニットを設置せずとも接続ができるので、より汎用性の高くなった無線ユニット方式と考えていただきたい。
KOSSやStreamsといった一部メーカーが海外で販売を行っている。
なお、以前は赤外線通信のものが多く存在したが、ノイズが乗りやすく伝送帯域も小さく音質も悪いため、多様な高音質接続手段がある今日購入するメリットはなく、おすすめできない。
密閉型か開放型か
ヘッドホンには大きくかけて開放型と密閉型の2種類のタイプが存在する。半開放型(セミオープン)なども存在するが、まずはそれぞれの特徴・違いを押さえよう。
密閉型と開放型の違い
比較点 | 相関関係 | 密閉型 | 開放型 |
---|---|---|---|
低域レスポンス | 強 | 非常に良い | 良い |
音場 | 強 | 平均的 | 非常に良い |
音漏れ | 強 | 良い | 悪い |
ノイズ遮断性 | 強 | 良い | 悪い |
快適性 | 弱 | 良い | 非常に良い |
密閉型(クローズド)
密閉型ヘッドホンは音を増幅する部分であるハウジング(イヤーカップ)に穴がないものを指す。ハウジングが共鳴箱の役割を果たし低音を増幅させるため、重低音の表現力は開放型より優れている。
またハウジングが閉じていることで音漏れも小さく、環境ノイズの遮音性も高いため、インドア/アウトドアの両方で使用するのに最適だ。ノイズキャンセリング機構を搭載したヘッドホンもこの密閉型に多く、騒音環境であれ静音環境であれ、深いベースレンジを感じながら没入感を得ることが出来る。
なお密閉型ヘッドホンが気になる方は別記事「開放型との違いは?密閉型ヘッドホンのメリットとおすすめ機種を紹介」も参考にされたい。
開放型(オープンエアー)
開放型ヘッドホンは一般的にハウジングに穴が空いており、メッシュやグリルでカバリングされている。密閉型と異なり、ドライバー(音の出る機構)から出力された音が、反射することなく空気を伝搬して忠実に耳に届くため、音の抜けが良くなり広い音場を感じることが出来る。
頭上のヘッドホンからというよりは、部屋に設置したスピーカーからの音を聴いている感覚に近い、自然な音場と没入感が最大の魅力だ。クラシックを聴けば、まるでホールで聴いているかのような端の見えない広い音場に驚かされる。この点において密閉型よりも圧倒的な優位性をもっており、室内用ハイエンドモデルも多くはこの開放型ヘッドホンだ。
その代わり、音漏れは大きく、環境ノイズも許してしまうことになるため、室内での利用が主な用途となる。周囲の人の話し声も聴き取れる。
なお軽く蒸れにくいといった装着面での特性もあるため、夏場や長時間のリスニングにも向いている点も覚えておきたい。
一方でハウジングでの低音の増幅が出来ないため、強い重低音はあまり期待できない。この点は広い音場による臨場感とトレードオフだろう。なおハイエンドモデルでは大型ドライバーで弱点を克服しているものもある。
なお開放型ヘッドホンが気になる方は別記事「密閉型との違いは?開放型ヘッドホンのメリットとおすすめ機種を紹介」も参考にされたい。
音質にこだわる
低音の強さを優先するか、中高域の伸びを優先するかなどは好み次第だが、次のような点はヘッドホンの音質を決める本質的な部分なのでこだわりたい。
- 解像度が高いか
- 定位感が良いか
- 音場が広いか
また、以下の点も確認しておこう。
Bluetoothの対応コーデックは?
Bluetoothヘッドホンの場合は、親機であるPCやスマホから、子機であるヘッドホンへBluetoothでデータを転送する際、データの圧縮が行われている。
その圧縮方式をコーデックと呼び、コーデックによって圧縮率・遅延時間が異なり、標準のSBCは圧縮率も高く音質が悪い。
どんなに子機側で高音質コーデックに対応していても、親機側が準拠していなければ使用できないので、しっかりと親機のスペックも再確認しよう。
最近はapt-X HDというハイレゾ相当音質のコーデック対応機器が増えている。できるだけ高音質のものを選ぼう。(apt-X HDは大衆向けDAP・スマホでは普及率が低い)
コーデック | 内容 |
---|---|
AAC | iTunesでお馴染みの高音質圧縮方式。Apple社製品は勿論全て対応している。Apple以外でも対応している機器は多い。 |
apt-X | CD音源に近い音質での転送が可能なコーデック。英CSR社開発。 |
apt-X HD | apt-Xのハイレゾ対応版。英CSRが新開発。対応機器が増えつつある。 |
LDAC | 96kHz/24bitのハイレゾ音源対応。ソニーが開発し、ソニー機器同士限定の規格。 |
SBC | Bluetoothの規格上で必須項目なので、全ての機器に対応しているが、圧縮率が高く音質は悪い。 |
▲ Bluetooth対応コーデック一覧
無線ユニット/Wi-Fiの周波数帯は?
Bluetoothは2.4GHz帯の電波を利用する規格だが、Wi-Fiもしくは同様の技術を用いたものであれば5GHz帯も併せて利用できる(デュアルバンドと呼ぶ)。
デュアルバンド対応のワイヤレスヘッドホンであれば、電波の混雑による干渉を避けやすく、伝送容量も増えるため、基本的には高音質再生が可能となる。
ピュアオーディオ再生を謳う製品はデュアルバンド対応が進んでいる。
Bluetoothでないワイヤレスヘッドホンを選ぶ際は、使用帯域幅はぜひ確認しておこう。
ハイレゾ対応?
近年ハイレゾ音源再生が身近なものとなっている。
通常音源よりのおよそ倍ほどの周波数レンジで情報が記録されているハイレゾ音源の再生には、対応する再生周波数帯域をもっているヘッドホンが必要だ。
もしハイレゾ音源を再生するなら、ハイレゾ対応機器の一般的な最大再生周波数帯域である30000~50000Hzの再生に対応していることを目安としよう。
またハイレゾロゴマークによる品質保証で選定するのもよいだろう。
ハイレゾロゴ(ハイレゾマーク)とは、以下のような特徴がある。
- 日本オーディオ協会から認証を受けたメーカーが生産した製品に付くマーク
- 40kHz~の周波数帯域の再生性能を持つアナログ系機器のみに付く
- 厳しい音質の審査に通過したもののみに付く
大手メーカーでもデザインの都合上マークを取得していないスピーカーもあるので目印として認識していいただきたい。
なおハイレゾ対応ヘッドホンが気になる方は別記事「ハイレゾ対応ヘッドホン”最上級”を厳選。おすすめ最新&定番モデル」も参考にされたい。
ドライバーユニットの性能は?
ワイヤレスヘッドホンで使われるドライバー駆動方式はほぼ全てダイナミック型なので、ダイナミック型について押さえておきたいポイントを紹介する。
【ドライバー口径は?】
ダイナミック駆動方式では振動板(ダイアフラム)の大きさに比例して音質が良くなる特性がある。Φ30~53mm辺りのドライバー口径のものが多いので、それを基準に大きさに注目してみよう。
【マグネットの材質は?】
ヘッドホンでは磁気回路で永久磁石(フェライト、コバルト、アルニコ、ネオジウム等)を使い、その性能で音質が向上するとされている。ヘッドホンにおいては小型・軽量を求める際、小さくても強磁界をもつ磁石を搭載したものを選ぶと良いだろう。
【ボイスコイル材質】
通常の銅線でなくHi-OFCやPCOCCといった高純度の銅線などを採用しているものを選ぶと音質が向上するとされている。
フィット感にこだわる
イヤーパッドは合う?
よく見かけるイヤーパッド素材として人工皮革が挙げられる。こだわりたい方にはレザーのモデルを試してみてもよいだろう。これらは遮音性に優れており、メーカーによっては交換用イヤーパッドも別売りされているので、長く使い続けたい方は、その点も情報を確認されたい。
ただ遮音性が高いとはつまり蒸れやすいということでもあり、夏場の使用で急激に劣化が進む恐れもある。イヤーパッドがボロボロに剥がれてしまう経験をしたことがある方も多いはずだ。
そんな際は蒸れを解消しつつイヤーパッドの寿命を延ばせるメッシュ系素材やベロア素材といったカバーを併せて導入してもよいだろう。
伸び率最大280%で様々なヘッドホンにフィット。吸湿・速乾性に優れた国産生地「テンセル」を採用。
イヤーカップの形状は?
耳全体を多い隠すサーカムオーラル型(オーバーイヤー型)の密閉型ヘッドホンがよく見られる。これは大きいドライバーとハウジングでベースレスポンスを上げる効果があるので、重低音を求める方はこうした形状が良いだろう。
重低音を重視したヘッドホンを求めている方は別記事「ずっと使いたくなる重低音ヘッドホン。おすすめの人気作品をご紹介。」も参考にされたい。
なお眼鏡など着用しながら長時間装着した場合で、ヘッドホンの側圧でこめかみへ負担をかけてしまうのが心配な方は、耳を包み込まず乗せるだけのオンイヤー型という形状もあるので候補に含めてみるといいだろう。
側圧は適切?
人それぞれだが、ヘッドホンの締め付けの強弱は重要だ。長時間リスニングでは側圧が強いと疲れてしまうが、弱ければずれやすくなってしまう。
実機で試すのが一番だが、困難な場合は同程度の側圧をもつ機器を探し試聴してみよう。
バッテリー性能を確認する
連続再生時間は十分?
宅内でも外でも頻繁に充電が必要となるとストレスになる。
重量とのトレードオフになるが、バッテリー容量の多いものは音圧も高く長時間再生できるので、自身の利用時間をイメージしてスペックを確認しておこう。
充電時間は短い?
外ではなかなか電源を確保できない場合が多いので、急速に充電できると嬉しい。宅内でも電池切れの際に、リスニングを中断しているストレスを軽減するにも充電時間は短い方がよい。
機能性で選ぶ
ノイズキャンセリング機能搭載か
密閉型のワイヤレスヘッドホンでは、ノイズキャンセリング機能を搭載したモデルもある。周囲の音を遮断し集中したい方は対応モデルを選ぼう。
遮音性が高いものを選ぶだけでもノイズ対策となるので、自身の求める遮音レベルと相談しよう。
通話機能の有無
通常ヘッドホン接続中に電話がかかってくると、自分はスマホのマイク部を口に近づけ語りかけなければいけない。
この事態を防ぐためには、内蔵マイクを搭載しておりハンズフリー通話対応のものを選ぶ便利だ。
その際、簡単に音楽再生と通話機能を切り替えられるか確認しておこう。
通話音質の良さ
通話を行いたい場合は、CSR社の規格であるCVC6.0(ClearVoiceCapture6.0)*というエコーキャンセル規格に準拠しているものを選ぶと安心だ。
*6.0は執筆時点で最新バージョン
通話におけるノイズキャンセリングだが、これは一般に言われるノイズキャンセルとは異なる。
自分の発した声が、相手方のマイクで拾われ、自分のスピーカーに返ってきて反響する現象を「音響エコー」と呼ぶ。通話を前提としたマイク付きイヤホンにおいては、ノイズキャンセリングの中でもこれを防ぐためのエコーキャンセル機能を搭載しているものが望ましい。
通話性能を確認する場合は、エコーキャンセル機能搭載の表記をチェックするか、CVC6.0準拠の表記をチェックすると良いだろう。
なおCVC6.0の主な機能は次の通りだ。
- 自動音量制御
- 送受信イコライザー
- ノイズ快適化
- ハウリング制御
- 非線形処理
- 音声適応イコライザー
- 省電力機能
- 補助ミキシング
- 周波数強化による音声明瞭化
サラウンド対応か
近年ワイヤレスヘッドホンでもサラウンド対応のものが増えてきた。DVDやBlu-ray、ゲームなどでサラウンド音声を再生したい場合は対応しているヘッドホンを選ぼう。
【対応フォーマットは?】
ただ実はサラウンド音声には幾つかフォーマット種類が存在する。ヘッドホンがどのフォーマットの音源を再生できるのがスペックを確認しておこう。以下一例を挙げておく。
サラウンドフォーマット | 意味 |
---|---|
DolbyDigital(AC-3) | DVDを始め多くのコンテンツに採用されており最大5.1ch対応 |
DTSデジタルサラウンド | DTS社開発でDolbyDigitalより高音質だがDVDでは対応が限られBlu-ray向き |
DolbyDigitalSurroundEX | 6.1ch再生まで対応したフォーマット |
DTS-ES | こちらも6.1chに対応 |
DolbyDigitalPlus | Blu-ray等次世代メディア向けでBlu-rayでは最大7.1ch対応 |
DTS-HD | 上のDD+と同等 |
DolbyTrueHD | Blu-rayでは最大7.1chで、16チャンネル以上に対応したロスレス圧縮音声での伝送を可能にした高品質形式 |
DTS-HD Master Audio | ロスレス圧縮を採用 |
DolbyProLogic II | 5.1chとステレオ2cを相互変換でき、IIxは7.1ch、IIzは9.1ch再生に対応 |
DTS Neo:6 | 2ch音声なら全て5.1〜7.1chとして再生可能 |
▲ 主要サラウンドフォーマット
【対応チャンネル数は?】
サラウンド対応のヘッドホンを選ぶ際は、再現できるチャンネル数も確認しよう。
なおch(チャンネル)についてだが、実際はスピーカーの設置数によりch数が異なる。サブウーファーは増えると0.1ch増える。
chが大きいほど、音源間の距離が近くなり、自然なサラウンド感と迫力あるサウンドになる。
チャンネル | スピーカー配置 |
2.0 | フロント左右2本 |
2.1 | 2.0+サブウーファー(重低音のみ再生) |
3.1 | 2.1+フロントセンター(人の声) |
5.1 | 3.1+リア左右2本 |
7.1 | 5.1+リアセンター2本 |
▲ チャンネル数とスピーカー配置の関係
ワイヤレスヘッドホンの注意点
距離の制限がある
2.4GHz帯でWi-Fiや独自無線ユニットで通信を行うものは、比較的長距離通信が可能だが、Bluetoothでデータ通信を行うタイプでは、機器が互いに通信可能な距離に位置しており、間に防電磁性の遮蔽物が存在しないことが通信可能の条件となる。
水平を保ち距離をとり、且つほとんど電波干渉のない環境であれば実は30〜50m、場合によってはもっと距離が離れてもペアリングし続けることもあるがこれは、一般的には離れたとしても10m以内が再生圏内だと考えておこう。
電波干渉を受ける
ワイヤレスヘッドホンの通信の多くは2.4GHz帯の通信帯域を利用して接続する。
2.4GHz帯はライセンスフリーの国際標準帯域なので、電子レンジなどこの帯域を利用する機器が溢れかえっており、Wi-Fiにおいても現在最も使われている。Bluetoothも2.4GHzだ。
同じ周波数帯を使う限り電波干渉は確実に引き起こされ、その際データロスが発生するので音質は劣化する。
そのためワイヤレス機器を使う際は、できるだけ干渉源のの少ない所で使用することが望ましい。Wi-Fiは5GHzを利用する機器もあるが、ヘッドホンで2.4GHz/5GHzデュアルバンドに対応したものは珍しいので、やはり干渉に注意すべきだ。
なお携帯電話のキャリア通信は1GHz以下を利用しており干渉に影響しないので安心されたい。
最後に
ワイヤレスヘッドホンは技術向上による高音質化やバッテリー容量の増加などで、以前よりずっと身近で一般的なものとなった。
有名ブランドも安心して開発できる環境になっており、これからもワイヤレスヘッドホン市場は成長を続けるだろう。
本記事がワイヤレスヘッドホンを手に取り、愛機を見つけるきっかけになれば幸いだ。
※本記事のワイヤレス関連技術情報は、専門資格を有するディレクターによる監修を受けたものです。