スピーカーフォンとは
スピーカーフォンとはマイクを内蔵したスピーカーのことで、電話会議やウェブ会議で利用することが多い。
相手の音声をスピーカーで再生し、その場にいる複数人で共有しながら、自分たちの音声もまとめてマイクで拾い上げ相手側に送信する。
つまりハンズフリーで多人数の遠隔会議を実現するシステムだ。
スピーカーフォンの利用シーン
Skype(Lync)、GTM、WebEx、V-CUBEなどは、ヘッドセットで1対多のやり取りを得意とするサービスであるが、こうしたWeb会議システムならびに電話会議システムを個人利用でなく大人数利用が可能なシステムに拡張したいときに最適だ。
つまり基本的に多対多での利用を得意とする。1対1、1対多の場合、自分側にはスピーカーフォンはいらあずヘッドセットがあればよい。
おすすめのスピーカーフォン
YAMAHA(ヤマハ) YVC-1000
YAMAHAの大人数規模スピーカーフォン。秀逸なエコーキャンセリング能力でハウリングはなく、相手の声が明瞭に聴こえる高音質な再生能力が特長。
実際にビジネスシーンで使ってみたところ、それこそSkype、GTM、WebExなどで何度も使ったが、そのクオリティの高さに驚いた。
自動チューニング機能が秀逸
特に自動チューニングを行う機能、これはボタン1つでスピーカーがテストサウンドを流し、室内の音響環境を学習してマイクレベルやエコーキャンセラーのフィルター強度など各種パラーメーターを自動調整してくれる。
常に会議室に合わせた最適な音響設定を自動で行ってくれるので、ストレスなく会議に集中できた。
デメリットは収音角度
ただ感覚としてはマイクの収音角度が狭く水平面寄りなので、近距離で見下ろす位置に着席すると、あまり声を拾ってくれないことがあった。外部マイクも接続可能なので適切なものを接続するのがよいだろう。
マイクのミュートボタンが上部にあり、とっさのミュートも手間がかからないのもうれしい。そのマイクも連結できて40人程の大人数に対応できる。
接続も簡単
接続は非常に簡単でUSBとスピーカー、スピーカーとマイクをケーブル結線するだけだ。他にもBluetoothやRCAピンなど多様な接続方式に対応している。
8人以上の会議室で使い、今後のスケーラビリティも考慮するなら、本機がおすすめだ。エンタープライズ向けの高額な社内会議システム導入の前に本機を試してみてほしい。
YAMAHA (ヤマハ)YVC-300
4〜6人程度の利用を想定したスピーカーフォン。Bluetoothに対応しておりNFCで簡単にペアリングも可能。USBバスパワーで駆動するので、会議で枯渇しがちなコンセントを埋めずに済む。
マイクの連結が可能で最大で10人程度の規模での利用が可能だ。(連結したマイクにも給電は必要)YVC-1000の規模が合わない方はこちらをおすすめする。
SANWA SUPPLY MM-MC14
USBバスパワーで駆動する、無指向性のスピーカーフォン。無指向性なので小さめの会議室で見下ろす形で声を発しても拾ってくれる。
特別高音質ではないが、しっかりとエコーキャンセリングはできておりハウリングもない。
操作も簡単なので少々サイズが大きいが、リーズナブルな手軽なスピーカーフォンシステム導入をされたい方にはおすすめだ。
SANWA SUPPLY MM-MC28
コンパクトながら5mという広い収音範囲をもったスピーカーフォン。USBバスパワーで駆動するので、配線もすっきりだ。
きちんとエコーキャンセルを搭載したスピーカーフォンで、特にリーズナブルなので、試しにスピーカーフォンを導入してみたいという方におすすめ。
ノイズキャンセル機能はないので、騒音のあるオープンな会議スペースでは使いづらいかもしれない。
Jabra SPEAK 510
Jabraの小規模向けスピーカーフォン。
4人程度までの規模向けに設計されており、無指向性マイクという最適な装備で、コンパクト。
Bluetooth接続にも対応し、充電可能なバッテリー搭載なので、出張など持ち運びの利用に最適だ。
社内外でウェブ会議の頻度が高い方におすすめだ。
Plantronics P420 Calisto
スピーカーフォンやイヤホンを得意分野とするPlantronicsの製品。
全方位をカバーする無指向性マイクで、1人から複数人まで小規模で使うことができる。
エコーキャンセルにもしっかり対応しており、ハウリングの心配もない。
価格を抑えたい方におすすめ。
Pioneer RAYZ RALLY
ありそうでない、iPhone専用のスピーカーフォン。
Lightning端子からの給電で動作し、複雑な設定などせずにプラグアンドプレイですぐに利用できる。
アプリを使えばノイズキャンセリングの調整や、ファンクションキーのカスタマイズも可能。
ポケットサイズの会議システムは、モバイル利用がメインの方にはぴったりだろう。
スピーカーフォンの選び方
まずは製品情報をしっかりと見ること
例えば、POLYCOM社のスピーカーフォンCommuniatorなどを紹介している悪質なメディアを見かけることがある。
これは非常に優れた製品だったが10年以上前の製品で、とうの昔にEoSを迎えて最新のWindowsやMacで使えない製品だ。そもそも同社は基本的にエンタープライズ向けプロダクトが中心で、リセラーを介さないコンシューマー向けプロダクトを殆ど出していない。
そうしたメーカーサポート情報や動作確認情報などの確認をしっかり行った上で製品購入すべきだ。ビジネス目的であるなら尚更である。
接続方式で選ぶ
Bluetooth対応か
電話会議の中でもSkypeなどウェブ会議を行う場合は、モバイルデバイスやPCでの利用が殆どだと思うが、昨今のBluetoothの普及状態に合わせて、Bluetooth対応スピーカーフォンも増えてきた。
スピーカーフォンはテーブル中央に配置することが多いと思うが、この時当然コードレスの方がストレスがない。
例えばプレゼンの音声を中継するなど考えれば、プレゼンターのPCと有線接続はあまり現実的ではないため、Bluetoothは大変活躍してくれるだろう。
NFC対応か
Bluetooth接続を行う場合には「ペアリング」という工程が必要となるが、NFCチップ搭載の携帯電話と接続を行う場合、NFC対応スピーカーフォンがあれば、画面をつけることもなくワンタッチでペアリングが完了し、非常に便利だ。Bluetoothもあまり接続が大変な訳ではないが、お客様の目の前や、時間制限のある状況など、とっさの接続が求められることの多いビジネスシーンではNFC機能はあると嬉しい。
USB接続か
Bluetoothでなく、PCとの接続を想定したUSB接続方式も非常に多い。
あまりモバイルでの会議を想定しておらず、どちらかと言うとアプリケーションや画面共有を行いながら会議を進めるようなPC利用が適した際に使えるだろう。
有線の制限はあるが、ほぼ全てのPCが対応でき、Bluetoothの様にペアリング登録数の制限もないため汎用性が高いと言える。社内全員で使うならUSB接続は対応していてほしいところだ。
機能性で選ぶ
IP電話として使うか
Skype(旧Lync)やWebEX、GTMなど、ソフトウェア側で発着信を行い、スピーカーフォンは単なるマイクやスピーカーとして使う場合はこれに該当しない。
スピーカーフォン単体で発着信機能を持ち電話機として機能することを求めるなら、IP電話機能を搭載したモデルも選択肢に入る。
これはIP通信を利用し音声を相手側に届ける方式で、基本的にはIP電話同士でのやりとりとなり、企業内の内線に使われることも多い。このとき同じ企業内LANに接続しIP通信を行うが、拠点が離れる場合はVPNを張るなどして、利用するポートをファイアウォールで許可して利用する。
企業内LANでIP電話を利用するときは、音声パケットの優先度を上げる必要があり、検証なしの導入は少々厳しい。遅延・ノイズを生じる場合はこのネットワーク側の問題の場合もあるので自社の運用者で対応できるか想定もしておこう。
なお、アナログ回線とも通信したい場合は、別途VoIPゲートウェイ機器とアナログ回線契約が必要となってくるため、導入のハードルは高いものの、一度入れてしまえば通常の電話機と同じ使い方に加え、容易に電話会議を行う環境も手に入るためメリットも大きい。
ただ手軽な電話会議は確実にSkypeなどが優位なので、そうした外部ウェブサービスの利用が認められていない場合にIP電話など検討に含めるとよいだろう。
エコーキャンセリング
基本的にエコーキャンセリング機能はスピーカーフォンにおいて必須機能であり、これに対応しない機器があるならそれは買うべきでない。
自分の発した声が、相手方のマイクで拾われ、自分のスピーカーに返ってきて反響する現象を「音響エコー」と呼ぶ。これが連続的に生じてハウリングとなってしまう。
ノイズキャンセリング
エアコンなどから発生する低周波ノイズを軽減する機能。
必須ではないが、比較的多くの製品に搭載されておりあると嬉しい機能の1つ。
オートゲインコントロール
席や場所によってマイクに届く声の大きさは違ってくるが、この差をなくす自動制御機能。
また発言していない拠点の人たちのゲインを下げて、無駄なノイズを発生させず会話を聴き取りやすくするのもこの機能の役割。
ローエンド機にはなかなかない機能だが、非常に強力な機能なので、本機能を有する機器は比較検討時にアドバンテージをもっていると考えよう。
適正人数で選ぶ
スピーカーフォンは大人数に対応、大スペースに対応するほど値段も高くハイスペックになるが、必ずしもハイスペックであれば良い訳ではない。
マイクの指向性・範囲に注意
大会議室に対応するスピーカーフォンのマイクは基本的に収音の指向性が水平面に向いており、真上からの声は認識しづらい仕様になっていることが多い。
これを小さな会議机において、複数メンバーで囲むと、ほぼ全員の声は自分の目線より遥か下にあるマイクに向かって発せられる。
距離が近すぎるため指向性に全く合わず声が遠くなり会議が成り立たないという事態に陥る。
基本的にスピーカーフォンのマイクは水平面へ指向性を持たせてはいるが、それでも大規模用モデルはそれが顕著に現れるので、飽くまでも自身の利用規模に合致したスペックのモデルを選ばれたい。
収音範囲(距離と角度)は必ず確認しておこう。無指向性のものもあるので適宜選ぼう。
スピーカーボリューム
これも大規模用のモデルになると不要なレベルでボリュームが大きく、逆に邪魔に感じる場合がある。
これも最適な音量レベルのものを選ぼう。音量レベルが低すぎるのも問題だが、オーバースペックすぎるのも問題なのだ。
最後に
ビジネスシーンにおいて、スピーカーフォンの品質は大変重要だ。
社内会議ならともなく社外とのリモート会議も想定するなら妥協せず高品位なものを選ばれたい。
円滑なビジネスのために、優良な環境を整えていこう。