PCモニターは価格や種類が多種多様で何を選べばよいのか迷いがちです。そこで基本的な選び方を説明した上でおすすめの製品をご紹介します。よくある質問もまとめているので、小型と大型がどちらがいいのか、ゲーム用とビジネス用のどちらがいいのかなど疑問を解消した上でぴったりのモニターを選びましょう。
PCモニターの選び方
ステップ①サイズを決める
自身の利用状況にマッチするサイズを決めよう。ただし一般に40cm、ワイドなら50cm以上はモニターと距離をとるべきとされているので、設置スペースが十分にあるかどうかも注意しておこう。
〜19インチ | 省スペースで移動もしたいときなどに使いやすい。 |
〜22インチ | 文書作成やネットサーフィン程度に適切。 デュアル化するにもちょうどよい。 |
〜26インチ | 最も一般的なサイズ。複数人での視聴にも向く。 動画を観たり、広めのスペースで作業をするのに適切。 |
27インチ〜 | ゲームや映画を本格的に楽しむのに最適。 画面分割で作業も可能なサイズ。 |
ステップ②表面処理を決める
表面に光沢のある「グレア液晶」と光沢のない「ノングレア液晶」、また半光沢加工のされた「ハーフグレア液晶」の3種類がある。
好みにもよるが、文書を読むなどビジネス用途にはノングレア、動画閲覧などにはグレア液晶がおすすめだ。
グレア | 外光を反射するので黒が映えてコントラストの強い鮮やかな描画になる。ただし外光が映り込むので目が疲れやすい。 |
ノングレア | 外光を取り込んでしまうため全体的に白みがかった低コントラストな描画になる。目には優しい。 |
ハーフグレア | 両者のいいところ取りをしたタイプ。多少映り込むのでグレアが苦手な人はハーフグレアも苦手。 |
暗室で見比べると殆どグレアもノングレアも違いがなく、外光の強さによってその違いが大きく表れる。
文字の読み書きがなければ、自宅やオフィス程度の光量だと映り込みもさほど気にならないのでグレアかハーフグレアがおすすめだ。選べない人は後からグレアシートを貼るという手もある。
ステップ③パネルの駆動方式で決める
液晶パネルはほとんどTFTという方式を採用しているが、その中でもさらに大きく分けて3種類の駆動方式があり、それぞれ特徴が異なる。予算や用途にあったものを選ぼう。
方式 | 安さ | 画質 | 応答速度 | 視野角 |
---|---|---|---|---|
TN | ★★★ | ★☆☆ | ★★★ | ★☆☆ |
VA | ★★☆ | ★★☆ | ★★☆ | ★★☆ |
IPS | ★☆☆ | ★★★ | ★☆☆ | ★★★ |
なお非公開の製品も多いので不明な場合は特徴から判断しよう。あまり数は多くないがIPSがさらに省電力になり一番高価なPLSパネルもある。
ステップ④解像度を決める
SXGA | 1280×1024 |
フルHD | 1920×1080 |
WUXGA | 1920×1200 |
WQHD | 2560×1440 |
WQXGA | 2560×1600 |
4K | 3840×2160 |
数字は描画できる点の数を表しており、フルHD画質が現在では主流となっている。大画面モニターだと4Kなどがよいだろう。
ステップ⑤搭載している端子を確認
HDMI端子
PS4やレコーダー、テレビ、またMacbookProなどのノートPCに採用されている端子。映像や音声、LANのデータ伝送と幅広いデジタルデータ伝送が可能な形式で広く普及している。TVの代わりに接続するにも必須に近い。
かならず1つは欲しい端子だ。
ノートPCにはMicroHDMIという小型規格が採用されていることもある。ノートPCと接続して外部モニターとして使う場合には変換アダプターの必要性も考慮しておこう。
DVI-D端子・D-Sub(VGA)端子
両方とも搭載されていることが多い。
DVIはデジタル信号に対応している。D-Subはアナログ信号で画質も非常に悪いが、ビジネスシーンで利用されることも多いので、利用シーンによってはあると役立つだろう。
デスクトップPCのマザーボードに標準で搭載されていることが多い。
USB Type-C
最近搭載が進んでいる最新の規格。伝送可能なデジタルデータ容量が非常に大きく、向きが関係ないリバーシブルコネクタを採用、さらには最大で100Wの給電ができる最も優れた端子だ。
これがあればモニターからMacbookへの給電するといったことも可能となる。将来的なことを考えるなら選定条件に加えよう。
おすすめのPCモニター
I-O DATA EX-LD2381DB
安心の国内メーカーの製品で、コストパフォーマンスの良さから高い人気を誇っている。
LEDバックライトの高速点滅をさせないフリッカーレス設計や、ブルーライト軽減、ノングレア液晶を採用し、目の負担を軽減する仕様となっている。
特に長時間画面を見続けるビジネスユースでの利用におすすめ。
BenQ(ベンキュー) GL2460HM
PCモニター随一の人気機種。フリッカーフリーで目の負担も少ない。
上のI-O DATAに比べて圧倒的に応答速度が速い(2〜5msec)ので、同価格帯でゲーム利用も考えているならこちらがおすすめ。
BenQ ZOWIE XL2411
中間調の応答速度が1msと超高速で、リフレッシュレートは144Hzというハイレベルなゲーミングモニター。
FPSや格闘ゲーム用に特化しており、ゲーマーに非常に人気が高い。
Philips(フィリップス) 246E7QDSB
非常にワイドな視野角をもち、そしてTNパネルよりもずっと高精細なPLSパネルを採用したモニター。
また薄型設計になっており、シンプルなデザインで邪魔にならない。
応答速度もGTGで5msecと然程遅くはなく、汎用性とコストパフォーマンスの高い製品だ。
iiyama XU2492HSU-B1
マルチディスプレイ利用した際も、ディスプレイ間の隙間が気になりにくいスリムベゼル設計。本体の厚み自体も薄く省スペース設計だ。
端子もDisplayPortやHDMI、DVIやハブとしてのUSB端子など多様に搭載。
IPSならではの広視野角をもちながらも、弱点である応答速度はオーバードライブ機能で改善している。
ASUS(エイスース) VZ239HR
スリムを重視するならこちらもおすすめ。
IPSパネルでありながら破格のコストで人気の高い製品だ。
7mmという超薄型ボディとスリムベゼル設計で、インテリアにも映え、マルチモニター環境構築も容易だ。
ゲームには不向きだが、汎用的な使い方しかしない方には非常におすすめできるモニターだ。
ACER(エイサー) KA270HAbmidx
27インチと大きめのモニターの中ではコストの安い製品。
広い視野角をもちつつ、高精細、しかしフレッシュレート4msecとVAパネルらしいオールラウンダーである。
サイドのベゼル幅も細めで並べやすい。
LG 22MP48HQ-P
IPSパネルでありながら非常に安価で小型のモニター。
スピーカーもなくコストダウンとスリム化がなされている。
コストを抑えつつIPSにこだわりたい方におすすめ。
DELL(デル) SE2416H
DELLらしいシンプルなデザインで、配色も同社のPCとよくマッチする。
価格やスペック感は同クラスのものと然程変わらないので、デザイン性を重視する方や、XPSなどDELL PCをお持ちの方におすすめ。
EIZO FlexScan EV2451-RBK
4辺フルフレームレス・フルフラットの設計になっており、マルチ構成でも継ぎ目が目立たない。
上下左右に展開する様なトレーダーの方でも使いやすいデザインだ。
医療用モニターでも圧倒的シェアを誇るEIZOのプロフェッショナルなスペックに、使いやすさが組み合わさった完成度の高いモニターだ。
マルチモニター時に1台の電源オン/オフに連動して他のモニターも動作する仕様もニッチなユーザーニーズに応えており素晴らしい。
LG 43UD79
超弩級!コスパ最強のLGの4Kディスプレイ。
最大4台の機器の映像を、画面を4分割してフルHD画質で表示できる。
そのため接続もHDMI×4・DP・USB Type-C・RS-232Cと充実しており、内蔵スピーカー搭載、さらにブルーライト低減機能もあるなどハードなユーズにしっかりと耐える設計。
応答速度あ8ms(GTG)なのでFPS系ゲーミングモニターには少し不向きだが、トレーダー、デベロッパー、デザイナーやライトなストリーミングゲーマーには非常に重宝するモニターになるはずだ。
I-O DATA LCD-MQ321XDB
WQHD(2560×1440)解像度に対応したワイド液晶ディスプレイ。
広角なので角度による色やコントラスト変化が少ないのが特徴。
また低解像度の画像の解像感をアップさせる「超解像技術」や、応答速度を8msから4ms(GTG)にアップさせるオーバードライブ機能を搭載する。
よくある質問
リフレッシュレートとは?
1秒間に何回画面を描き換えることが可能かを示す。パラパラ漫画を1秒間に何回めくれるかといったイメージでよいだろう。
一般に60Hz(60回/1秒)程度あるとよいが、ゲーム用途だと120Hzもしくは144Hzあると嬉しい。(PC側も対応している必要がある)
大きさはどのサイズがおすすめ?
大まかな利用シーンごとに異なるので下表を参考にしてほしい。
利用シーン | おすすめ |
ビジネスで使いたい | 22インチ程度 ノングレア |
動画鑑賞をしたい | 24インチ程度 グレア |
作曲や画像処理系に使いたい | 24〜27インチ程度 ノングレア |
ゲームや映画鑑賞に使いたい | 27インチ 応答速度5msec以下 |
デュアルモニターには?
デュアルモニターにするなら24インチは大きすぎる場合があるので21インチ程度にとどめよう。
ノートPCのサブモニターなら小型がおすすめ
- 場所を取らない
- 持運びが楽
- 接続も簡単
USB接続だけで利用可能で電源も別途必要ないものもある。スペースの不十分なオフィスデスクでサブモニターを使いたい場合などに活躍する。
高さにも注意
モニターは高すぎても低すぎても、正しい姿勢を維持できない。もし高さが足らない場合にはモニター台を用いるのがよい。スペック表を見て、もし自身のデスク環境では低すぎる場合には次の記事を参考に適したモニター台を見つけよう。
- パソコンモニターにスタンドは使用していますか?モニタースタンドを使うと、目線の高さにモニターを調整しやすくなり、またデスク周りもすっきりします。機能性に優れたものやデザイン性の高いものまで各ブランドから多くの製品がリリー...
壁掛けやアームの利用も考えている
壁掛け用のマウントキットやモニターアームの多くが「VESA規格」に対応している。
これはモニターをスタンドやアームに取り付ける際のネジ穴やネジの間隔を定義した規格だ。
今日ほどんどのモニターと関連製品がこの規格に対応しているが、製品標準のスタンド以外に別の取り付け方法を考えている場合には必ずモニターがVESA規格に対応していることを確認しよう。
中古の方がいい?
新古品などでない限りやめておくのが賢明。
液晶は衝撃や経年で「液晶欠け」が発生し、部分的に全く映らなくなっていく。
中古品を手にしてすぐに液晶が欠けてくることも十分にあり得るので、液晶に関しては極力新品をおすすめする。
テレビとの違いは?
根本的な違いとして、テレビは地上デジタル波を受信できるチューナーが搭載されており、さらにスピーカーや高精細な液晶と、またリモコンなどオール・インワンで機能が備わっている。
PCモニターは一般にテレビほど高精細を重視されておらず、またチューナー等も搭載されていない。動画特化な訳ではなく、単に映像を映し出すための道具である。
テレビ化できる?
PCモニターでテレビ視聴をしたい、テレビ化してBlu-rayプレーヤーなどで映画を観たいこともあるだろう。そういったことも可能だ。
本当にテレビを観たいなら外部の地デジチューナーに接続する必要があるので注意。地デジチューナーを接続し、レコーダーやPCも接続するとなると必然的に入力端子数も多く必要となってくるので、購入の際は端子形状と数に注意しよう。
またテレビとしての利用であれば40型など超大型モニターも視野に入れるとよいだろう。
ケーブルはどれでもいいの?
HDMIなどのデジタルデータ伝送の場合は特に注意して欲しいが、ケーブルによって対応できる伝送容量が異なる。
見た目は同じだがフルHD対応のHDMIケーブルと4K対応のHDMIケーブルそれぞれが存在し、価格も異なる。
また音声伝送に対応しているか、インターネットを使うためのイーサネット伝送に対応しているかなど、伝送できるデータ種別も異なってくる。
家電量販店やECサイトで簡単に手に入るが、スペック表記をよく読んでから手に入れよう。
内蔵スピーカーはあった方がよい?
結論から言えば不要だ。
音質の悪いお飾り程度のスピーカーであることが殆どな上に、スピーカーがあるせいでコストが増し、さらにパネルの幅・大きさも大きくなってしまう。
確かにデスク周りがすっきりする利点があるが、PCスピーカーを用意する方がよい。
ゲームをするならゲーミングPCモニターの方がいいの?
ゲーミングモニターの方が断然有利。名ばかりではなくスペックが異なる。コントラスト比なども通常のモニターより高く設定されていることが多いが、特に大きな違いはリフレッシュレートと応答速度だ。
通常60Hzだが、ゲーミング用は144hzのレートをもちヌルヌルと動く。さらに応答速度も1ms程度と非常に速い。マウスカーソルの動きも違ってくるので、通常のPC操作もより快適になるはずだ。
ゲーミングモニターが気になる方は次のエントリーを参考にしてほしい。
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まとめ
液晶パネル技術の進歩と共にPCモニターの価格は下がり続けており、以前よりも安くハイスペックな製品を手に入れ易くなった。
その分製品の種類や価格帯も多種多様となり初めて手にする方や、数年ぶりに買い換える方はどれを選ぶべきか迷ってしまいがちだ。
本記事がそうした方々のモニター選びの参考になれば幸いだ。
ぴったりのモニターを見つけて快適なPC環境を整えて欲しい。