マザボを買い換えようとしている方向けに、必ず知っておいてほしいポイントや選び方をご紹介。また、「ゲーミングしたい」「最強スペックでビルドしたい」「1万円台で安く抑えたい」など目的別におすすめのマザボを選んでみました。
マザボ初心者が知っておくべきこと
マザーボードとは?
マザーボードとは、CPUやメモリ、ディスプレイなどあらゆるPCパーツを相互接続し、制御する中枢基盤のこと。
全てのパーツを載せる母艦の様な存在だ。マザーボードなくしてパソコンは構成できない。
マザーボードはずっと使う
マザボ交換のタイミングとは
一般にパソコンの買い替えサイクルは5〜7年と言われている。
この間に多くの人が時代に合わせて、マザボの上でメモリを増設したり、グラフィックボードを交換する。
マザーボードを交換するタイミングというのはつまり、次々に登場する新しいパーツにマザーボードが対応できなくなり、ほぼパソコン全体を新しくするタイミングとなる。
マザボは拡張性・堅牢性が重要
そのため長期的に使えるように最新の、拡張性のある、壊れにくい製品を使うことが必須条件となる。
旧型や中古であっても価格差は僅かなので、古いパーツを使いたいなど理由のない限り過去製品を手にいれるメリットはない。
ブランドはASUSかMSIほぼ二択
絶対に壊れてはならない、信頼性の求められるマザーボード。
高品質・高評価で業界を牽引する上記2社から選ぶことを強くおすすめする。
少し廉価なGIGABYTEやASRockが次点候補となるが、まずは人気の高い上記2社から検討されたい。
目的別におすすめのマザーボードをセレクト
数あるマザーボードの中で、有力候補になり得る製品を目的別にピックアップしたので参考にされたい。
スペック最強のPCをビルドしたい
MSI X399 GAMING PRO CARBON AC
AMD系CPU「第2世代Ryzen Threadripper」に対応した最新マザーボード。
世界初の32コアCPUを動かし、映像制作や音楽制作向けの究極のワークステーションとして、無敵のゲーミングPCとして、最高峰のパソコンをビルドしよう。
ASUS ROG MAXIMUS X APEX
最高のパフォーマンスを追求するオーバークロッカーのためのマザーボード。パーツの性能を限界まで向上させることのできるハイエンドモデルだ。
CPUはIntel Core i7-8700Kの6コア全てで驚異のクロック周波数7.3GHzに、DDR4メモリは4500Mhzを上回るスピードにブーストできる。
仕事・ゲーミング向けミドル〜ハイスペックPCを構成したい
フラグシップ(最上位)モデルは不要だが、仕事用やゲーミング用に高機能な環境を用意したいという方向け。
ASUS ROG STRIX Z370-F GAMING
ゲーミング向けの多彩な機能を備えたATXマザーボード。
NVMe SSD RAIDをサポートし、最大32Gbpsという驚異の転送速度を実現。
LED周りのカスタマイズ性も高く、機能だけでなく見た目にも拘りたい方におすすめのモデル。
MSI Z370 GAMING M5
ゲーミング向けの堅牢なATXマザーボード。VR Readyを謳っており、ワンクリックで3Dコンテンツに最適なチューニングにしてくれる機能をもつ。
「MSI Steel Armor」という従来のPCIeスロットの約4倍の強度のスロットを装備しており、重量級のグラフィックボードを搭載しても壊れにくいのが特長。
なお同クラスのGAMING PRO CARBON ACは、Steel Armorの代わりWi-Fiカードを搭載しているが、筆者としては技術革新が激しいWi-Fi装備は後付けにして、M5の堅牢さを選んだ方が無難と考える。
1万円台に価格を抑えつつ長く使っていきたい
ASUS PRIME H370-A
耐久性に優れており、多くのPCパーツと互換性をもつ、初めての自作PCにぴったりのATXマザーボード。
M.2スロットやUSB3.1Gen2といった超高速インターフェースを搭載し将来的にも安心の構成。
オーバークロック(定格以上の周波数でCPUを動作させる機能)が必要で必要なければ、まず第一候補となるだろう。
MSI H370 GAMING PLUS
ASUSのPRIMEと同クラスのATXマザーボード。
MSI Steel Armorという頑丈なスロットを搭載している点が特長。
LED設定やVRレディといったゲーマー向け仕様が充実している。
失敗しない!初心者向けマザーボードの選び方
まずは使用するPCケースの対応規格を確認
PCケースによって対応するマザーボードのサイズが異なるので、はじめに確認しよう。
主要なマザーボードのサイズは大きい順に「ATX」「MicroATX」「Mini ITX」の3種類の規格が存在する。
MicroATXはスリム型PCをビルドしたいとき、MiniITXはベアボーンPCという機能もサイズも最小限に抑えたPCをビルドしたいときなどに使用する。
なお、ここではBTOや自作PCで最も一般的なATXにフォーカスして解説していく。
【最重要】チップセットを選ぶ
チップセットとは
チップセットにはCPUと他の機器を繋ぐ目的があり、マザボに搭載されている集積回路のことを指す。最重要と記載したのは、チップセットによって使えるCPUが決定するからだ。
チップセットの種類は製品名に入っていることが多く、「MSI Z370」のように「ブランド名+アルファベット+数字」のような形式で示される。
チップセットの「Z」「B」「H」の違いと見分け方
数字の前には「Z」「B」「H」などのアルファベットがあるが、拡張機能の実現度が多い順でZ>H>Bに分類されている。
また「Z」はオーバークロック可能、「H」はオーバークロック不可能といったことも分かる。
チップセットの世代と代表例
チップセット | 世代 | 例 |
---|---|---|
Intel Z370 | Coffee Lake | i7 8700K |
Intel X299 | Skylake-X | i9 7900X |
Intel Z270 | Kaby Lake | i5 7500 |
Intel Z270 | Sky Lake | i7 6700K |
Intel H270 | Kaby Lake | Pentium G4560 |
Intel X99 | Broadwell-E | i7 6950XE |
AMD X370 | Zen | Ryzen 7 1800X |
AMD B350 | Zen | Ryzen 5 1600 |
AMD A320 | Zen | Ryzen 3 1200 |
使用するCPUを確認
使用するCPUが決まっている人は、対応するソケット(差込口)とマザーボード(M/B)のチップセット必ず確認しよう。これらが一致しないと動作しない。
Intel系で最新のCPUを使う場合は、第8世代CPU「Coffee Lake」に対応したソケットLGA1151を搭載する370シリーズチップセット、
AMD系で最新のCPUを使う場合は、「Ryzen」シリーズに対応したAM4を備えたマザーボード
以上を念頭に入れて選ぼう。
ついに登場したAMD Ryzen Threadripperを使うならsTR4が対応ソケットとなる。CPUとソケットの対応状況について詳しくは後述する。
CPUソケットで選ぶ
下表で使用するCPUに必要なソケットを確認しよう。
Intel Core i 系(インテル)
CPU | ソケット | チップセット |
---|---|---|
Core i9 | LGA 2066 | Intel X299 |
Core i7 8000~ | LGA 1151 (v2) | Intel Z370 |
Core i5 8000~ | LGA 1151 (v2) | Intel Z370 |
Core i3 8000~ | LGA 1151 (v2) | Intel Z370 |
Core iX 7000~ | LGA 1151 | Intel Z270/H270 |
Core iX 6000~ | LGA 1151 | Intel Z270/H270 |
Core iX 5000~ | LGA 1150 | Intel Z97/H81/B85 |
AMD
CPU | ソケット | チップセット |
---|---|---|
AMD Ryzen TR | Socket TR4 | AMD X399 |
AMD Ryzen | Socket AM4 | AMD X370 B350/A320 |
インターフェース(スロット/端子)
メモリースロットの種類
メモリースロットは、マザボよって対応している「規格」と「枚数」が異なるので注意が必要。Mini-ITX等特殊な例で2枚搭載のものがあるが、一般的には4枚。
規格については、2018年現在「DDR4」が主流。間違ってマザボに対応していないDDR3メモリを購入しないようにしたい。
拡張スロットの種類(PCI)
マザボとグラボを併用するなら、拡張性を加味して「PCI Express 3.0 x16」レーンが最低1本搭載したものを選びたい。
PCI Express 3.0(通称PCIe 3.0)は高速な帯域幅を持つ規格のことだ。
他にもPCI Express x8やx4やx1やM.2 SSDを接続するM.2 スロットがあるが今回は省略する。
USB
ハブを使う人は、標準的な6ポートあれば良い。どの規格が何個ついているかは仕様書に書いてあるので確認しておこう。
- USB 3.1 Gen2 Type-A:最大10GBpsで転送可能(最速)
- USB 3.1 Gen2 Type-C:最大10GBpsで転送可能(最速)端子がコンパクト
- USB 3.1 Gen1:最大5GBpsで転送可能
- USB 2.0:最大0.48GBpsで転送可能(遅い)
HDMI/DisplayPort
デジタル出力するためのディスプレイ用端子のこと、画面に音声や映像を出力のが目的。
LAN
有線でインターネットするひとは必要。無線でネットをする人は、2018年現在「802.11ac」対応のマザボが主流。
SATAコネクタ
SATA(Serial ATA)とは、HDDやブルーレイドライブ等を接続するもの。上から順に転送速度が速く、ハイスペック。
- SATA Express
- SATA6.0G:6Gb/s
- SATA3.0G:3Gb/s
フォームファクター
ATXだと高さ305mm・横幅244mmかどうかさえ見ておけば良い。
ちなみに、
- microATX:高さ244mm 横幅244mm
- Mini-ITX:高さ170mm 横幅170mm
- Extended ATX:高さ305mm 横幅330mm
- UCFF(NUC):高さ101.6mm 横幅101.6mm
となっている。
標準搭載機能(オンボード機能)
RAID
HDDを複数連動させることで、安全性や速度改善ができる機能。
- データを分散する→RAID 0
- 書き込みデータを即時複製する→RAID 1
などが存在する。
オーディオチップ
パソコンから音を出す際に、音質に関わってくるパーツ。
2018年現在、下記が主流。
- ハイエンドクラス ALC 1220
- ミドルクラス ALC 892/ALC 887/ALC 662
一般的にはミドルクラスが多く使われるが、ハイエンドのものほどSN比が高くノイズが防げるので、音質に拘る人は検討してみてもよいだろう。
Bluetooth
Bluetoothキーボードや、Bluetoothマウスなどを使用したい場合に必須。
【ライトユーザー向け】オンボードグラフィック
グラボ使用せずに画像や映像を表示ができるのがオンボードグラフィック。
グラボのように高性能ではなく、最低限の性能しか兼ね備えていないので、機能性をもたせたい人にはおすすめしないが、ブルーレイで映画を見るくれいなら十分活躍する。
【上級者向け】SLI/CrossFire
マルチGPU動作システムとも呼ばれ、2枚以上のボードを1組で使用することで効果を高める技術が「SLI、CrossFire」といったもの。グラボに関わることなので詳細は省略するが、
- NVIDIA:SLI(エスエルアイ:Scalable Link Interface)
- AMD:CrossFire(クロスファイア)
メーカーによって上記のように呼び方が違う。負荷がかかる3D等を扱う場合に検討したい。