音楽用途、歌ってみた・実況などにおすすめのダイナミックマイクをご紹介します。コンデンサーマイクどちらが良いのか、またその選び方や注意点についても解説していきます。
DTM機材ニュース
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ダイナミックマイクとは
ライブハウスやカラオケで使われている一般的なマイク。
音の振動で、鉄芯のついた振動板(ダイアフラム)が振動し、コイルに誘導電流が発生して電気信号に変換する仕組みだ。
一般的なスピーカーと同じ構造となっている。
ピンと来ない方はフレミングの左手の法則の授業を思い出そう。
シンプルな仕組みだがスピーカー同様、周波数特性は製品により異なりダイアフラムの素材や磁石の種類などで音が変わってくる。価格帯も様々。
ここではその中でも初〜中級者におすすめのマイクを紹介していく。
おすすめのダイナミックマイク
BEHRINGER XM8500
<何よりも安さを求める方に>
BEHRINGERは人気機材の回路を廉価パーツで模倣し、そこにニーズを反映して製品開発・販売を行ってきた格安機材メーカーだ。本機はSM58に名前まで似せているところが潔い。
その分コストの割には音質が良いので、何でもいいからダイナミックマイクが欲しいという学生におすすめ。
チャットや実況など高音質を求めない利用では最も手頃なマイクだろう。
なお品質不足なのでレコーディングやライブで使うことは避けられたい。同社製品に良い印象を持たない方も多い。
SHURE SM58
<世界的スタンダード>
「ゴッパー」の通称で親しまれている世界中で使われているマイク。
伸びのある中高域が特徴で、ボーカル録音に最適。
非常に頑丈な作りなのでずっと使い続けられる。
まずはリファレンス機として本機を手にして、必要に応じてコンデンサーマイクなど揃えていくと良いだろう。
SHURE (シュア)BETA58A
SM58の上位モデル。
本格的なボーカル録音やコンサートでの利用に最適なマイクで、TVの歌番組などでも使われている。
ダイナミックマイクながらクリアで精細な高域を収音でき、SM58より抜け感が良い。
SM58の特色をそのままに、さらにグレードアップしたい方におすすめ。
SENNHEISER(ゼンハイザー) e835
名門ゼンハイザーのカーディオイドマイク。
SM58に似ているが、より男性ボーカルに特化した特性になっている。
吹かれにも強くリーズナブルな価格で初心者の方におすすめ。
SENNHEISER (ゼンハイザー) e945
コンデンサーマイクのように繊細に音を拾うプロフェッショナルマイク。
中〜高域のシフトが滑らかで、力強いナチュラルなサウンドが特徴。
ステージでパワフルな男性ボーカルを引き立てるならこれがおすすめ。
AKG (アーカーゲー)D7
ダイアフラムの厚みを中心部と縁側で変える独自技術で、非常に広いレンジと、スムーズなレスポインス、力強いサウンドを実現。
ライブパフォーマンスに向いたプロフェッショナル仕様だ。
ワイドレンジでパワフルに音を出したい方におすすめ。
AUDIX OM-3
20年以上のロングセラーを誇るAUDIXのボーカルマイク。
SM58よりもハイが出るので、女性ボーカルにもぴったり。
歌ものやアコースティックメインの方におすすめだ。
audio-technica(オーディオテクニカ) AE6100
鋭い指向性をもち、ハウリングやポップノイズに対して非常に強いマイク。
ラウドな環境でもしっかりとサウンドを出したいときに最適。
音質はマイルドなので自分の声が細く聞こえてしまう女性におすすめだ。
audio-technica(オーディオテクニカ)AE4100
AE6100の高域レスポンスの良さなどを受け継ぎつつ、カーディオイド特性で設計されているのがこちら。
国内ではAE6100の方が人気だが、海外ではこちらも人気。
ゴッパーから持ち替えると、テクニカブライドとも呼ばれる明瞭さを体感できるはずだ。
BeyerDynamic M88TG
50年間愛され続けるには訳がある。
繊細なボーカルにマッチする癖のない名門Beyerらしい音が特徴。
耐音圧性能に優れているので、ボーカルだけでなくキックドラムなどの近くにも設置可能。
ピアノやその他アコースティック楽器を拾っても繊細さが際立って歯切れ良いサウンドを響かせてくれるはずだ。
RODE M1
ゴッパーなどと比べると中低域のラウドさはなく、抜け感の良さが良い印象。
ハウリングノイズにも強く、ポップフィルター内蔵なのでスタジオ、ライブでのボーカル利用に最適なコスパの良いマイクだろう。
▼ 参考動画 ▼
Blue enCORE 200
ファンタムパワー回路を搭載したダイナミックマイク。
高出力を確保し、安定したトーン、低ノイズを実現。ライブパフォーマンス等でナチュラルなボーカルサウンドを鳴らしてくれる。
見た目も使い方も少しユニーク。ドイツマイクの様な忠実系とは別に落ち着いたナチュラルなサウンド用として持っておくのにおすすめ。
Electro-Voice ND96
N/DYMシリーズの後継機種で、ラウドなミュージックに最適なライブ向けマイク。
轟音に負けないパワフルなゲインでシャウトもハイトーンボイスも拾ってくれる。
ノイズ低減率が高くフィードバックにも強いため、ノイジーなサウンドの中でもハウリングなく安心して使用可能。
ハイゲイン、ハイパワーを求めるならこれ。
SHURE KSM8 Dualdyne
これまでのSHUREダイナミックマイクとは違い、超極薄ダイアフラム2枚と画期的な逆エアフローシステムを搭載した革新的なマイク。
近接効果を大幅に抑制し、マイクとの距離による音質変化がほとんどない(十数cm程の距離まで)。
軸外減衰が広帯域にわたってフラットなため、低音から高音までナチュラルで明瞭なサウンドが拾える。
ダイナミックマイクを買う前に
いざダイナミックマイクを手に入れても、必要なツールが足りなかったり、思った音質でなかったりという失敗は避けたい。
ここでは幾つか最低限知っておきたい知識をご紹介する。
ケーブルには種類がある

音声信号の+部分をホット、その逆相をコールドと呼ぶ。
また芯線をノイズから守る金属膜シールドをグランドと呼ぶ。
ホット、コールド、グランド用に3本の線を使用する接続方法を「バランス(平衡)接続」と呼ぶ。
これに対し、ホットとグランドのみの方法を「アンバランス(不平衡)接続」と呼ぶ。
バランス接続はノイズに強いが、複雑になるためコストが増す。
アンバランスはノイズに弱いが安価だ。
マイクでは基本的にバランス接続を採用したXLR端子が利用されている。
XLR端子からフォーン端子に変換するケーブルもあるが、これはアンバンラス接続への変換を意味し、ノイズへは弱くなる。
マイク本来の力を引き出すには変換せずにXLR-XLR接続すべきだ。
XLR端子を接続するには
基本的にはミキサーか、PC利用ならオーディオインターフェースを利用することになる。
オーディオインターフェースは特にXLR端子もフォーン端子も両方搭載していることが多い。
DTMや実況目的の方はオーディオI/Fは必須アイテムとなるので、所持していない方は併せて検討しよう。
PCと直接接続したいと考えている方は、XLRからステレオミニプラグに変換することになるが、それでは音切れやノイズが強く実際使い物にならない。
パソコンで使いたい方はやはりオーディオI/Fを導入するか、そこへのコストをかけたくない場合はクリップマイクでも十分なサウンドを手に入れられるだろう。
例えば次のクリップマイクは、ビジネスやゲーム実況などでもよく利用される非常に評価の高いモデルだ。
SONY ECM-CS3
国内外で非常に評価が高く、そのクオリティーはハイエンド機に引けを取らないとされる。
周辺ノイズも拾いにくく、低音もしっかりキャッチする。
初めてクリップマイクを手に入れるなら、ECM-CS3を選ぶと間違いがない。
コンデンサーマイクとどちらが良いのか
よく利用されるマイクは大きく分けて2種類ある。
ダイナミックマイクとコンデンサーマイクだ。
それぞれ次の特徴がある。
マイク種別 | メリット | デメリット |
ダイナミック |
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コンデンサー |
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コンデンサーマイクが優れているという認識がたまに見られるが、それは誤りだ。
たしかに透き通ったウィスパーボイスでも拾うことができるが、余計なノイズも拾いやすい。
また表にある通りXLR端子経由で電源を供給する必要があり(ファンタム電源と呼ぶ)、扱いも面倒だ。
利用シーンに合った方を選ぼう。
ダイナミックマイクを選ぶポイント
音楽製作や演奏目的での利用か
本格的な利用を想定するなら少なくとも1万円前後のダイナミックマイクをおすすめしたい。
高い音圧レベルでビビってしまったり寿命が短かったり、ダイナミックレンジの広さや耐久度などは安価なマイクでは不十分だ。
ケーブルについては短い距離ならXLR-XLRでなく、アンバランス接続でも問題ないだろう。
距離が出るようならバランス接続にしてノイズ対策を講じた方が良い。
指向性は強いか
またマイクによって指向性が違い、指向性によって向き不向きがあるので利用状況に合わせて選ぼう。
単一指向性 | カーディオイドとも呼ぶ。 SM58等の定番マイクがこれに当たる。 マイクの向く方向を中心に収音する。 ボーカルを始め汎用的な利用が可能。 |
超単一指向性 | スーパーカーディオイドとも呼ぶ。 SHURE Betaなどがこれに当たる。 収音範囲が狭くハウリングが発生しにくい。 沢山の楽器に囲まれる様なステージに最適。 |
実況やボイスチャットでの利用か
トークがメインの方は安価なマイクでも構わないかもしれないが、多くの安価マイクは音が篭りがちだ。
音質によって印象は相当変わるので、相手の聴き心地を考えるなら極力ワンランク上のマイクを手に入れたいところだ。
ただ指向性が強いとスイートスポットを捉えられず、正しく録音できないので注意しよう。
指向性マイクは慣れが必要なので、不安な方はゲーミングヘッドセットを検討してみるのもよいだろう。
最後に
ダイナミックマイクは価格も品質もピンからキリまであるが、本記事では少し入門者向けにフォーカスしてご紹介した。
ハイエンドなマイクは試してみることをおすすめする。
本記事がこれからダイナミックマイクを手にする方の参考になれば幸いだ。