初めてコンデンサーマイクを手にするDTMerや歌い手、実況をしたい方向けに「本当に使える」おすすめの機種をご紹介します。そして失敗しないための選び方や、よくある距離や使い方、種類に関する質問についても解説をしていきますので、ぜひ機種選びの参考にしてみてください。
DTM機材ニュース
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コンデンサーマイクを選ぶ上で
コンデンサーマイクとは
コンデンサーマイクはスタジオレコーディングで必ず使用されている、プロフェッショナル向けのマイクだ。
コイルを利用するダイナミックマイクと異なり、静電容量の変化で電気信号を発生させる。
振動板(ダイアフラム)を極軽量にできるので、低音から高音に至るまで幅広いレンジの収音が可能だ。
ダイナミックマイクとどちらが良いのか
カラオケやライブハウスでよく見かけるダイナミックマイクと、スタジオで見かけるコンデンサーマイク。
どちらが優れているということはなく、それぞれ特徴があるので整理しておこう。
マイク種別 | メリット | デメリット |
ダイナミック |
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コンデンサー |
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コンデンサーマイクは屋内での生音レコーディングに最適
屋内の静かな環境でのレコーディングであれば、ノイズを拾いやすいコンデンサーマイクでもその性能を存分に発揮できる。
ノイズがなければコンデンサーマイクはダイナミックマイクよりも繊細に音を拾い上げることができるので、主にボーカルやギターをはじめとする各種アコースティック楽器の録音に効果を発揮する。
ダイナミックマイクと比べたとき音質の差は歴然だ。
逆に多数の楽器に囲まれるライブステージなどではダイナミックマイクの方が正しく音を拾い上げることができるので、用途によって使い分けよう。
コンデンサーマイクはこんな方におすすめ
- ボーカルやアコギをいい音で撮りたい方
- 歌ってみたをいい音で配信したい方
- いい音で実況を行いたい方
- アンビエントサウンドをいい音で収音したい方
初めて手にするなら2〜3万円前後の入門機を
高いと感じるかもしれないが、コンデンサーマイクの入門機は2〜3万円程度だ。
それ以下のコンデンサーマイクを敢えて買う必要はない。安物買いの銭失いになってしまう。
はじめて手にするなら次の理由から入門機を手にしよう。
理由①高級機との差があまりない
実は入門機から高級機に変えたとしても、ダイナミックマイクとの差の様に大きな違いはなかなか感じられない。
数万円以上かけてやっとレベルアップできる程度だ。
入門機でも十分な音質を得られる。
理由②壊れやすい
ダイナミックマイクは床に叩きつけてもすぐに壊れない程頑丈だったりするが、コンデンサーマイクはそうではない。
非常に精細な機器なので床に落とせばうんともすんとも言わなくなる。
さらに湿気にも極めて敏感で、高級機はそもそも保管が難しい。
初めから高級マイクを手にして、すぐに故障させてしまっては余りに勿体無い。
そんな危険な賭けに出るよりも、扱いに慣れる意味も兼ねて入門機にしておこう。
理由③高級機はすぐ使いこなせない
高級機の中には指向性を切り替えることができるモデルもあるが、その前に入門者は基本的な使い方に慣れる必要がある。
また高級機は使う場所がない。
基本的にプロ用スタジオでの利用を想定しており、普通の住宅では繊細すぎてノイズまみれになってしまう。
そしてそのマイクを活かせるだけの機材が用意できない。
マイクだけ高品質でもその能力を引き出せるだけのオーディオインターフェースやマイクプリを用意できるだろうか。
高級機と近しい投資をしなければそれは手に入らないのだ。
理由④安物はおもちゃ
そもそも良い音を手に入れるためにコンデンサーマイクを導入するのに、音の悪い粗悪品を選んでは本末転倒だ。目的を果たせずお金を無駄にしてしまう。
以上ことからコンデンサーマイクは素直に入門機を手に入れよう。
おすすめのコンデンサーマイク
audio-technica(オーディオテクニカ) AT4040
<定番中の定番>
フラットな特性で、ものすごく”普通”の音が録れるマイク。
これはつまり原音を忠実に拾い上げる能力が高いということ。
癖がないのでミキシングで味付けもしやすく、太めのサウンドに仕上がるので存在感もしっかり出てくれる非常に良いマイク。
どうしてもここまで手が出せないのなら同社のAT2050(販売サイト)が妥協点となる。
AKG(アーカーゲー) C214
超定番機C414を、コストを抑えDTM向けしたマイク。
中〜高域が強くきらびやか、かつクリアなサウンドが特徴。
定番機種を継承しているだけあって、AT4040と並び入門機として十分な音質だ。
136dBの高耐入力なので、歪みにくく初心者でも扱いやすい。エレキギターのアンプ録りではかなりベタ付きのオンマイクも可能。
繊細なハイの抜け感を得たい場合におすすめ。EQでハイをカットするとまとまりのある音色に落ち着く。
RODE(ボーズ) NT2A
<セットでお得な超定番機>
世界的人気を誇ったNT2の後継機種。
スペックに対して破格のコストパフォーマンスを有している。
なお表示価格はポップガード付きサスペンションホルダー、3mマイクケーブル、ダストカバー等が付属した価格だ。
本機は入門クラスの価格でありながら、指向性切替、ローカットスイッチ、PADなどの機能を備えている。
特性としてはピーキーで、キレのあるサウンドが特徴。EQでハイをカットした方がよい。
入門者が勉強するにはもってこいだ。
MXL V67G
<どうしても予算が足らないなら>
1万円前後のマイクで最もおすすめできるのが本機。
ボーカル向けにデザインされており、メロウなキャラクターが特徴。
この価格では十分なサウンドが得られる。
なおこの価格帯は出処不明のアジアメーカー製品が蔓延っているので、他の製品に迂闊に手を出すべきでない。
NEUMANN TLM102
<プロレベルに近づける>
一度は憧れるプロ用ブランドノイマンの、非常に手頃な価格のマイク。
本機はタイトでパンチの効いたクリアなサウンドが特徴だ。それでいて癖が強くないのでミキシングも非常に楽。
音圧のあるオケにボーカルを乗せると、苦労なくしっかりと存在感を示してくれる。
144dBという高SPLを誇りなかなか歪まないため、実は初心者でも扱いやすい。
マイクの良し悪しが分かる耳を育てられるという点で、またずっと使い続けられるクオリティという点でも、入門機としておすすめしたい。
入門機としては本機が天井だろう。
コンデンサーマイクのよくある質問
どれくらいの距離で録るの?
音録りではオンマイク、オフマイクという言葉が使われる。
オンマイクは口やアンプをマイクに近づけること、オフマイクは逆に遠ざけることを指す。
コンデンサーマイクはオフマイクのセッティングになることが多い。
大雑把な目安としてマイクとポップガード、ポップガードと口の間にそれぞれ拳ひとつ分程度の間を取るようにしよう。
遠ければ腕の長さほどマイクとの距離を取ることもある。
ただマイクによって適切な距離は全くことなるので、適宜判断されたい。
アンプキャビネットのマイキングなどはまた違ってくるので、各マイクにあったポジションを探そう。
保管方法は?
原則湿気を避けて保管しよう。音質劣化やクリッピングノイズ発生につながってしまう。
乾燥剤を入れた、クッション性のある専用ケースを用意することをおすすめする。
ウレタンクッションで包み込めるマイク用ハードケースが理想的。
乾燥剤は定期的に交換しよう。
どんな種類がある?
コンデンサーマイクはサイドアドレス型もしくはハンドヘルド型という表記で販売されていることが多い。
全く用途が異なるので、基本的なマイクの種類について把握しておこう。
サイドアドレス型
振動板(ダイアフラム)が垂直に立った状態で音を受けるもの。
上にある MXL V67G の動画を観ればわかりやすいだろう。
円筒の軸に対して垂直の平面に指向性をもっている。
サイドアドレス型のコンデンサーマイクは振動や湿度に弱いナイーブな構造になっている。
エンドアドレス型
こちらは円筒の軸方向に指向性をもつようにダイアフラムが固定されたマイク。
ペンシルマイクとも呼ばれる。
カラオケマイクもエンドアドレス型と呼べる。
ハンドヘルド型
簡単に言えば手持ちマイク。カラオケマイクも該当。
振動やハンドノイズに強く主にライブパフォーマンス向きとなる。
コンデンサーマイクでもハンドヘルド型は多く存在し、サイドアドレス型に比べて丈夫だ。
構造上ポップガードも不要となる。
多くのハンドヘルド型コンデンサーマイクは、エンドアドレス型を採用している。
もちろんハンドヘルド(手持ち)に対応しないエンドアドレス型マイクも存在する。
使い方は?
絶対に必要なものは次の通り。
- ファンタム電源を内蔵した、ミキサー/オーディオインターフェース/マイクプリアンプなど
- 両端がXLR端子になっているマイクケーブル
またサイドアドレス型マイクの場合は吹かれ防止のためのポップガードや、振動防止のサスペンションホルダーがある方がよい。
前提としてコンデンサーマイクは構造上電源を必要とするのだが、ファンタム電源とはその電力供給を行うための装置のことだ。
そしてその供給にはXLR端子をもつマイクケーブルを利用する。
ダイナミックマイクの様に途中でフォーン端子に変換するなどは出来ない。
仮に出来たとしても、XLR端子の方がノイズに強いので変換するべきではない。
最後に
高音質を求めてコンデンサーマイクを手にしようという方向けに、選び方の解説とおすすめ機の紹介をしてきた。
数千円の安いコンデンサーマイクを買ってもそれは実現できない。
強く念押ししたいのは、コンデンサーマイクは2〜3万円ではじめて入門機と呼べるという点だ。
そして入門機でも十分に良い作品が制作できること、長く活躍してくれることも覚えておいてほしい。
まずはここでご紹介した中で気になるものを手にすることから始めてみよう。
そして色々な楽器のマイキングやMIXにどんどんトライしていこう。